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2022年07月14日
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カテゴリ:陽明学
 
 一 いにしえ、王者の天下をたもち給える時は、
王城といえども池堀〔いけほり〕なく要害〔ようがい〕せず。
是〔これ〕民を保〔やすん〕じて王たり。徳治の遺風を見るべし。
武家の代となりては、力を以て天下をとれり。故に力を以て有〔たも〕てり。
城池をかたくして一家を守るのみ也。民を外にして保〔やすん〕ぜず。
是故に力〔ちから〕衰〔おとろ〕うる時は亡べり。
 
 
 
 
 一 朋友問う。関東には年貢十一(※十分の一)よりかろき(軽き)所あり。
然れども、民、盗をする者多きは何ぞや。

 云う。是も、徒善〔トゼン〕は政〔まつりごと〕をするに足らずというものなり。
日本もむかしは農兵なりし故に、皆十一の貢〔こう〕をとれり。
十一よりかろきは其の後開き(※開墾し)ましたるものなるべし。
飢寒〔きかん〕に及び盗をするは凡人の常也。
民のごときはにくからず。上より盗をなさしむるがごとし。
政〔まつりごと〕なく教えなければ、いたづらにくらす(暮らす)者多し。
この故に貢かろく地ひろしといえ共〔ども〕、
末々〔すえずえ〕の子弟は盗をするにいたる者也。
知行〔ちぎょう〕を取る人の子弟だに強盗を好む者あり、況〔いわん〕や民をや。
此の俗〔ぞく〕長ずる時は乱世の端をひらくもの也。





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Last updated  2022年07月15日 22時12分17秒



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