|
カテゴリ:『あたりまえ』を考える
久々に日本の書店へ出かけた。そこでたまたま手に取ったのがこの本。
『Love in Alaska ー星のような物語ー』星野道夫 大好きな写真家だ。彼はひたすら自然を愛し,野生の命を愛し続けて、その素晴らしい姿を一生涯、命を掛けて撮影し続けた。十年前カムチャッカ半島でヒグマの事故に遭遇。享年43歳。 そんな彼のとらえた、息をのむほどに美しい自然と、切ないほどに繊細な野生の命たち・・・胸を締め付けられるように辛くなった。私たちはそれらを「しかたない」といいながら、自分たちの都合でどんどん壊し、彼らの命をどんどん奪っているのだ。「しかたない」・・・本当にそれで済ましてしまっていい問題なのだろうか? その本の最後に記された、彼の言葉。 「日々生きているという事は, あたりまえの事ではなくて, 実は奇跡的なことのような気がします。」 本屋だというのも忘れて、涙がこみ上げてきた。 自宅に戻ると、停電で真っ暗だったので、蝋燭を何本かつけて,この本を改めて開いた。最低でも10年以上前に撮られた写真だ。この被写体である野生動物の親子たち・・・今はどうしているんだろうか。 そしてちょうどこの写真集を閉じたところで、私の携帯が鳴った。農園のオーナーからだった。 「Bad news, sakura...(悪い知らせだ、さくら)」彼の声は震えていた。 臨月だった農園のLさんの・・・死産の知らせだった。 命はあまりにも、儚いものなのだ。 星野道夫氏 ウェブ・ストーリー お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
[『あたりまえ』を考える] カテゴリの最新記事
|