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テーマ:今日の出来事(292593)
カテゴリ:『あたりまえ』を考える
合気道ともうひとつ、今年に入って始めた事・・・それがホスピスのボランティア。
私が担当させて頂いているのは、重度の痴呆症のご老人(女性)。週に2回の割合で彼女の暮らすナーシングホームを訪ねる。 前回訪問は2日前。私を見るなり『友だち』と認識。とても機嫌が良く、通常液状のものしか摂取しない彼女が、普段食べないペーストの食事を受け入れていた。まわりの会話に耳を傾け、そして笑い・・・。ホームのスタッフたちも「彼女、今日はずいぶんと楽しそうだね!」と声をかけてくる。ピンク色が良く似合い、ポニーテールが愛らしい彼女。私も心の底から嬉しくなる。 でも、それは長くは続かない。 2日後の今日・・・ 彼女はブルーだった。ペーストの食事は拒み、言葉はほとんどでてこない。それでも、最悪ではなかった、なぜなら私といる事はそれほど心地悪いわけではない・・・という印象だったから。でもこうゆう日は、無理に元気を出させようと、プッシュしないに限るのだ。 彼女は40・50年代の音楽が好きだ。痴呆が進行していても、Nat King Coleや、Pat Boon、 Ella Fitzgeraldなど、お気に入りのアーティストの名前は忘れていない。そして彼らの曲を聴くと、こんなブルーなときも、気持ちが和む様子。音楽はパワフルだ。 でも、彼女は他2人と共同の部屋にいて、そのうちの1人がその音楽にクレームをつけ、大きな音でテレビをつけている。 趣味の全く違う人と、狭い部屋を共にしながら、自分はなぜこんなところにいるのか理解できずに混乱し、そして我が家に戻る日を諦めきれない彼女・・・。 彼女の苦痛が、痛い。 健康で、自分の家で家族と暮らし、犬や猫とじゃれあい、庭で花を愛でる・・・こんな平凡な暮らしが、実はどれだけ恵まれている事なのかを、強く強く、思い知らされる今日この頃だ。 はる・・・レモンの木陰でのんびり お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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