【問題が起きたら、まず自分の足元を見よう】
【問題が起きたら、まず自分の足元を見よう】 予想しない出来事が起きたとき、気持ちが動転します。 よい出来事ならいいのですが、悪い出来事だったらパニック状態になってしま います。 昔、お寺の住職がお弟子さんを数人伴って、ある家の法要に出かけました。 お寺に戻るときには、すでに暗くなっていて用意していた一つだけの提灯が、 夜道を照らしてくれました。 住職はあることを思いつきました。 しばらく暗い夜道を歩き続けていくと、住職が突然提灯の灯りをフッと消して しまったのです。 お弟子さんたちは、急に道がわからなくなり大混乱です。 そこで、住職は言いました。 「さぁ、この暗い道をどう歩けばよいか、意見を言ってみなさい」 その夜の空には月もなく、本当に真っ暗です。 お弟子さんたちは、しばらくじっと目を凝らして前方を見ますが、何も見えま せん。 すると、弟子の一人が言いました。 「看脚下(かんきゃっか)。自分の足元を見て歩けば大丈夫です」 住職は、「それでよろしい」と応えました。 これは、禅の世界でよく言われる「看脚下」という禅語のエピソードです。 人は何か突発的な問題が起きたら、前を見たり横を見たりして右往左往しがち です。 とくに先が見えないときほど、前を向こうとします。 その状態で、前に進むと転んでしまいケガもしやすくなるのです。 前が見えなくなったら、前ばかり見ようとせず、一度立ち止まって自分の足元 を見ることが自身の身を守ることにもなります。 つまり、何かの問題に直面したときは、とりあえず自分の足元を固めることが 大事なのです。 これが、「看脚下」という禅語の本質的な意味です。 たとえば、今の仕事が面白くないから転職しようか、という気持ちになったら 多くの人は、新しい仕事の情報をたくさん集めようとするものです。 しかし、どうして今の仕事に面白味を感じなくなったか、その原因をきちんと 見極めることが必要です。 自分自身がなぜそのように思うのか、根本的なことを考えるのが、「看脚下」 であり、足元を固めるということです。 ただ、面白くないから次の仕事を探そう、この考えだけは新しい仕事を見つけ ても、また同じことのくり返しになり成長もありません。 何かの問題に直面したら、自分の足元を見つめる、あるいは足元を固める時期 に来ている、と考えてみましょう。 すると、物事に対する見方が深くなり、自分の心の未熟さに気づくこともでき ると思います。 (by ハートリンクス)