【書籍感想】影王の都
書籍の感想です。今回は「影王の都」です。影王の都 (創元推理文庫) [ 羽角曜 ]裏表紙に書かれたあらすじを読むとリアノという少女の物語のようです。ですが、物語の最初に語られるのはイーラという女性の話です。その後、イーラとヴィワンのお話、リアノとしゃべる髑髏のお話、さらにはリアノの兄で、家を出ていってしまったガレルーンとアーシュの物語が、織り交ざりながら進んでいきます。この辺はどこが夢でどこが過去の話で何が現実の話なのかちょっと分かりにくい部分があるのですが、時間が円環の輪の中に閉じ込められているために未来が過去で、過去が未来で、死と生に区別がないかのような感じになっています。やはり「永遠の命」というものを求めることは愚かなことなのでしょうかね。永遠に死なず、老いないということは時間に意味がなくなり、生にも意味がなくなるということなのかもしれません。「同じことは二度とない」だからこそ、今が貴重であり、愛おしいのですね。