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テーマ:ささやかな幸せ(6740)
カテゴリ:良質な生活
ここ数日とっても寒くて、コタツから出るのが嫌になってしまいます。 コタツに入ってお蜜柑を食べながら本を読んでいて、ふと祖母や大叔母のことを思いだしました。 今から35年以上前の古い思い出です。 戦後すぐに立てられた古い日本家屋の一部屋で、おこたに入りながら祖母や隣に住んでいた大叔母と話した、いろいろな話。 隙間風が吹き込む部屋で、練炭の掘りごたつと火鉢で暖をとっていたあの日。 今の住宅とは比べ物にならないくらい寒かったはずなのに、何故だか心がポカポカしていた記憶しかないのです。 そしてその後移り住んだ家では、両親と祖母、私と妹の5人が、90センチ角のちゃぶ台で、身を寄せ合うようにして食事をし、団欒し、泣き笑いした日々。 小学校の6年間を過ごしたこの家も、今にして思えば狭い家だったのですが、身を寄せ合っていたせいか寒さを感じない家でした。 大きくなるに従って、家も部屋数が増え、新しい設備も増えて快適になっていったのですが、私の冬の原点は、あの身を寄せ合って話した家族のぬくもりです。 古く小さい家では、椅子に座っての暮らしではなく、床に座っての暮らし方が基本でした。 ちゃぶ台や畳やコタツなど、日本独自の家具で埋められた生活空間。 それは、今の我が家の暮らしのスタイルと似ています。 テーブルや椅子を使っての暮らし方もそれはそれで便利で快適なのですが、ちゃぶ台をどかせば何も無くなる空間の使い方も、狭い家ではまた合理的です。 そして、祖母や叔母との話しの思い出の場面で、必ず浮かんでくるワンシーン。 それは・・・・。 茶箪笥を背にして座るその家の主婦の姿。 お茶器やお菓子、小さながま口財布・・・。 茶箪笥からは、まるでドラえもんのポケットのように主婦が身の回りで使う小道具が出てきました。 脇には火鉢があって、そこにはいつも鉄瓶がかかっていて・・・・。 祖母や叔母の茶の間に入ると、いつもニコニコと迎えてくれて、何やかや話しながらちゃぶ台に就くと、後ろの茶箪笥からお茶器やお菓子を取り出して、火鉢にかかった鉄瓶のお湯で、いつの間にやら温かいお茶を用意してくれてる。 その間心と耳は私の方を離れる事無く、話を決して中断させずに、いつの間にやら出てくるお茶。 そのお茶の美味しさに、また心をほぐされて・・・・、とりとめのない話で笑いあう時間。 「せめて白折を頂けるような、そんな暮らしを心がけなさいね。」 「箪笥や水屋は、必ず一生使える物を両親から買っていただきなさい。両親が亡くなった後、その箪笥や水屋に縋って、何度父母に話しかけたり泣いたりした事か・・・。」 これはまだ年端も行かない私に向かって、祖母と大叔母とが自分達の結婚観を語った言葉。 その後ろにはいつも茶箪笥が・・・。 若いときは、骨董や古い物には全然興味がなく、あの茶箪笥達は古家を取り壊すときに一緒に壊されてしまいました。 でも今この歳になって、あんな茶箪笥が欲しいなぁとずっと願っているのです。 あの時の祖母達の茶箪笥のように、私のポケットのような働きをしてくれる茶箪笥。 骨董市などに行っては探しているのですが、中々あの時のような物を見つけ出す事ができなくて・・・・。 でも、いつかは絶対欲しい物。
あの時の優しい思い出を、我が家の中にも満たしておきたいから・・・・。 次の骨董市はいつかなぁ・・・・。いい骨董屋さんないかなぁ・・・・。
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