カテゴリ:観念重視から事実重視への転換
精神科医の樺沢紫苑氏のお話です。
格闘技の選手は、試合前に相手選手のことを徹底的に調べます。 過去の対戦動画を見て、まず相手の得意技を研究します。 次に相手の苦手なファイティング・スタイルを分析します。 そしてベストの戦い方をシミュレーションして、スパーリングなどで、その「必勝パターン」を徹底して練習していきます。 その相手が新人で、いきなりトーナメント戦で上位に進出してきた選手だとしたら・・・。 過去の対戦成績もよくわからないし、試合の動画も全く手に入らないとしたら・・・。 実力はどれくらいなのか?どんなファイティング・スタイルで戦ってくるのか? どんな得意技を持っているのか?そうした予備情報が全くないとしたら・・・。 チョー不気味です。そして、不安や恐怖も高まり、緊張も強まるでしょう。 相手の実力は何一つ変化するわけではないのに、「敵」「相手」に対しての情報をたくさん持っているだけで安心する事ができます。 情報を分析することにより、大脳新皮質が扁桃体の作り出す「過緊張」や「恐怖感」を封じ込めることができるからです。 敵について調べる。敵の情報をできるだけ集める。 それだけで、過緊張を大きく和らげることが可能です。 (いい緊張は能力を2倍にする 樺沢紫苑 文響社 172ページ参照) 大リーグで大活躍している大谷翔平選手は、初めて対戦する投手は試合前に動画で球筋や投球パターンを入念にチェックしています。 自分は相手の情報を全く持っていない。 逆に相手は自分の情報を有り余るほど持っている。 このような状況では戦う前からハンディを背負っているようなものです。 不安はどんどん高まり、疑心暗鬼になります。 練習で技術を高めていくことも大切ですが、それと同じくらい相手の情報をできる限り多く集めるということが欠かせません。 さらにその情報をもとにして戦い方を研究していく。 森田に「幽霊の正体見たり枯れ尾花」という話があります。 一人で夜の山道を歩いている時、薄が揺れてざわざわと音をたてることがあります。急に恐怖に襲われて、生きた心地がしなくなる。 このとき事実確認をきちんとおこなえば問題は起きません。 事実確認を軽視すると、頭の中で勝手に幽霊が出たに違いないと早合点してしまう。間違った決めつけをもとにして、慌てふためき急いで逃げようとすると、石などにけつまずいて大けがをしてしまうというものです。 立ち止まって事実の確認を行えば、不安や恐怖はそれ以上に大きくはならなかったはずです。 神経症に陥りやすい私たちは不安の正体にまずはきちんと向き合うことが大事になります。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2024.06.27 06:32:52
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