カテゴリ:人間関係、不即不離
9月号の生活の発見誌に中間管理職の人の話がありました。
問題ある部下を何人も抱えてマネージメントで苦労した人です。 一人は、たびたび仕事を休む人です。遅刻や早退も多い。 出勤しても熱心に仕事をしないでサボってばかりいる。 ある時私もたまりかねて、注意を与えたのですが、注意された彼は、「私に至らないところがあれは、いつでも叱ってください」と、いたって平静で、注意している上司である私のほうが、胸がドキドキして声が震えてくるという状態でした。 もう一人は、以前職員組合の組合長をしていた人です。 仕事ができる営業マンでしたが、何かあったとき、上司につっかってくるというような扱いにくい部下でした。 私にしてみれば、「俺の方が歳が上じゃないか」「会社でも先輩じゃないか」「仕事だってお前にゃ負けんぞ」という気で、対抗心まる出して対応していたのでだんだん仲が悪くなった。 険悪なときには、顔を合わせても、口もきかない、あいさつもしない状態だった。 こういう部下とどのように折り合いをつけていけばよいのか。 この問題に対して、アドラー心理学の目的論の考え方が役に立ちます。 早速検討してみましょう。 この方の一番の目的は、問題を持っている部下を、上司という立場を利用して、思うがままにコントロールしたいということだと思います。 つまり部下に負けたくない。負けを認めると自分の存在価値がなくなる。 なんとしても勝ちたい。部下を征服したい。屈服させたい。 自分の力を思う存分見せつけてやりたい。 しかし、部下もさるもの。一筋縄ではいかない。 「かくあるべし」を押し付けようとすれば、部下は精一杯の抵抗を試みます。 すれ違いや反抗的な態度にでてきて事態はますます悪くなっていく。 人間関係が悪化して息が詰まるような状態になる。苦しい。つらい。 このままの状態を続けていくと、マネージャー失格の烙印を押されかねない。 どうすればよいのかと苦慮されています。 アドラー心理学では、勝ち負けにこだわり、白黒をはっきりさせたいという目的を持って相手を挑発していると人間関係は修復できなくなると言います。 仮にあなたが勝利しても、相手は賛同者を集めて、態勢を立て直してすさまじい勢いで「復讐」してくる。 その時あなたは「こんなことになるなんて」と後悔することになる。 そのときになって反省してもすでに時遅しというものだ。 一旦破壊された人間関係は元には戻らないだろう。 上司の本来の目標は、まずは自分の組織の方針を立てること。 適性な人員配置をすること。部下のやる気を鼓舞すること。 部下を成長させること。目標に対する進捗の管理をすること。 問題点や改善点、将来の課題を見つけて対策を立てる。 関係各部署との連絡調整をすることなどです。 勝ち負けにこだわってしまうと、これらの目標を忘れてしまう。 組織の中で部下と勝ち負けをかけて戦うことを目的とする生き方にこだわることになります。 そういう目的にエネルギーを注ぐことは労多くして実りは少ない。 部下から勝ち負けを迫るような挑発を受けたとき、その挑発には決して乗らないという態度の上司はマネジャーの仕事に向いていると思います。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2024.08.29 06:20:10
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