カテゴリ:人間関係、不即不離
アドラー心理学では「すべての悩みは、対人関係の悩みである」と説明しています。その根底には他人から特別な存在として大切に取り扱ってもらいたいという切なる欲求が隠されているというのです。
それが満たされなくなったとき、さまざまな問題行動が起きてきます。 問題行動には次の5つがあり、それはしだいにエスカレートしてくると説明しています。この5つの問題行動のパターンを理解しておくことは、人間関係の改善に役立ちます。 問題行動の第一段階は「称賛の要求」です。 親や教師に対して、またその他の人々に向けて「いい子」を演じる。 組織で働く人間であれば、上司や先輩に向けて、やる気や従順さをアピールする。 それによってほめられようとする。入り口は、すべてここです。 彼らの目的は、あくまでも「ほめてもらうこと」であり、さらに言えば「共同体のなかで特権的な地位を得ること」なのです。 ほめてくれる人がいなければ、彼らははやる気を失う。 罰を与える人がいなければ、迷惑行為を繰り返すこともある。 問題行動の第二段階は「注目喚起」です。 せっかく「いいこと」をしたのにほめられないとストレスがたまります。 そこで褒められなくてもいいから、とにかく目立ってやろうと考えます。 学校や職場のなかで、特権的な地位を得たい。自分の属する共同体のなかに、確固たる「居場所」がほしい、真の目的はそこです。 正攻法ではうまくいかないので、ちょっとしたルールを破る。 いたずらを仕掛ける。相手を困らせるようなことを仕掛ける。 問題行動の第三段階は「権力争い」です。 誰にも従わず、挑発を繰り返し、戦いを挑む。 その戦いに勝利することによって、自らの「力」を誇示しようとする。 特権的な地位を得ようとする。かなり手ごわい段階です。 この段階は一言で言えば「反抗」です。周りの人に対して、口汚い言葉で罵って挑発する。 癇癪を起こして暴れまくる。平然とルールを破ります。 消極的な人は、「不従順」によって権力争いを挑んできます。 どんなに厳しい言葉で叱られようと無視して何もしない。拒絶する。 この段階の人に対しては、叱りつけても効果はありません。 法律に抵触するような問題行動は毅然とした態度で臨むことが必要ですが、それ以外の権力闘争には近寄らないことです。 問題行動の第四段階は「復讐」です。 第一段階から第三段階で歯が立たないということになると、一旦引き下がった後に復讐の段階に突入します。 復讐の段階に入ると、正面きって戦うことを選びません。 相手が嫌がることをひたすら繰り返すようになります。 ストーカー行為は典型的な復讐です。復讐のかたちは様々です。 アドラーは自傷行為や引きこもりも復讐の一環だと考えています。 この段階に至ると、第三者に助けを求めるしかない。 問題行動の第五段階は「無能の証明」です。 人生に絶望し、自分のことを心底嫌いになり、自分には何も解決できないと信じ込むようになる。 そしてこれ以上の絶望を経験しないために、あらゆる課題から逃げ回るようになる。周囲に対しては「自分はこれだけ無能なのだから、課題を与えないでくれ。自分にはそれを解決する能力がないのだ」と表明するようになる。 「できるかもしれない」と課題に取り組んで失敗するくらいなら、最初から「できるはずがない」とあきらめたほうが楽なのです。 そうすればこれ以上の失意に打ちのめされる心配はないのですから。 この段階に至ると、自暴自棄、無気力、無関心、投げやり、退廃的になってしまう。他人から見放され、生きることに絶望してしまう。 医療の専門家の力を借りる必要があります。 (幸せになる勇気 岸見一郎・古賀史健 ダイヤモンド社 90~103ページ参照) お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2024.10.26 07:55:59
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