庭木を移植する注意と根回しのこと
庭の植木を別の場所に移植する時には、どのくらいの根土(根鉢)をつけて掘り上げるのでしょうか?一般的には根元の太さの3倍で、と言われているようです。昔の人は根元を紐(ひも)で一回りさせて、その長さを目安にしたそうです。ひもの長さ=円周は、直径×3,14ですから、根元の幹の太さの3倍と同じことなのでしょう。そういうわけで根元の太さの3倍(以上)の土をつけて掘り上げればいい、ということになりそうです。できるだけ多くの土をつけたほうが植え痛みが少ないのですが、多すぎても重量的に困難ですので、そのあたりが目安になるのでしょう。作業の前に水で土を充分に湿らせておくと効果的です。水分が接着剤の役目をして土が崩れにくくなるのです。土が乾いていると掘り上げる刺激で土が崩れてしまうのですが、水分を含ませておくと良いようです。スコップは外側を向けて土に入れます。ふつうは内側に向けてスコップを入れたくなるのですが、スコップの先が内側に内側にと進んでしまうので、根土(根鉢)が崩れてしまうのです。外側に向けてスコップを入れれば、根土(根鉢)はそれ以上崩れることはありません。最終的の段階だけ、スコップを内側に向けます。根土(根鉢)の底に突き刺して、梃子(てこ)の要領で根土(根鉢)を持ち上げて、掘り出すことになりま。根回し植木を別の場所に移植する時には、できるだけ根を痛めないようにしなければいけないのですが、たいせつな木や大きな木を移植する時には、1年前に「根回し」をしておく方法があります。移植する1年前の春にあらかじめ何本かの根を切っておくのです。短く切られた根はその内側から新しい細かい根が生えてきます。1年たってから残りの根を切って掘り上げるのですが、新しい根が増えていますから、1度で掘り上げるよりも植え痛みが少なくなります。これを「根回し」と言って、成功する確率が高くなります。政治や会社営業などで、あらかじめ打診して、話を通しておくことを「根回しをしておく」と言いますが、園芸のこういうところから出た言葉のようです。根回しはだいじにしましょう。