「コメ作りで発生するメタンを抑制」
ネット巡っていたらデジタル朝日の「コメ作りで発生するメタンを抑制」というのに出くわしたのです。牛などのゲップから出るメタンが取り沙汰されていたが、コメ作りでもメタンが発生するのか・・・興味深いレポートである。*********************************************************コメ作りで発生するメタンを抑制「脱炭素」と「農業支援」の実現へよりQ そもそも、「稲作」が温室効果ガスの排出源になっているというのは本当ですか。廣嶋 農林水産省の資料によると、日本の温室効果ガスの総排出量は、約11億7,000万トン(2021年度)に上り、そのうちの約4%、5,000万トン弱が「農林水産分野」から排出されています。この農林水産分野の温室効果ガス排出量の約4分の1を占める1,194万トンが「稲作」由来のものです(いずれもCO2換算)。農林水産分野の温室効果ガスというと、世界では「家畜の消化管内発酵」、いわば牛などのゲップから出るメタンが高い割合を占める国もありますが、コメの生産量の多い日本では、「稲作」由来のメタンが大きな排出源になっているのです。なお「メタン」は、温室効果ガスの中でCO2に次ぐ16%を占めている成分で、その温室効果は一般的にCO2の25倍ほどもあるとされています。つまり、1トンのメタン削減は、25トンのCO2を削減するのと同等の効果があるということです。Q なぜ水稲栽培でメタンが発生するのか、仕組みを教えてください。廣嶋 農家が土作りのために使用する堆肥(たいひ)や稲わらなど、水田の土壌には様々な有機物が含まれています。有機物が微生物によって分解される際、畑のように土壌に酸素が取り込まれる環境ではメタンを生成する菌はあまり働きません。しかし、水が張ってある状態の水田では土壌中の酸素が乏しいため、メタンを生成する菌が活発化してしまいます。 水を張ったままにすると、メタンが多く発生するだけでなく根の活力低下や根元付近から枝分かれする「分げつ」が過剰に起こり、収量や品質の低下を引き起こすため、大体6、7月頃、稲から穂が出てくる手前のタイミングで、1~2週間ほど水を抜いて水田を乾かす「中干し」という工程があります。これは、一般的な水稲栽培におけるプロセスの一つで、よりよいコメ作りのために従来行われているものです。近年、この中干しに温室効果ガス削減効果があると注目されているというわけです。Q「中干し」がメタンの放出量に影響するわけですね。廣嶋 国の研究機関である農研機構からは、「中干しを7日間程度延長すると、メタンの発生を平均で30%程度削減できる」というデータが出ています。2023年3月からは、中干しの期間を直近2カ年以上の実施日数の平均よりも7日間以上延長する「中干し延長」が「J-クレジット制度*」の方法論に加えられました。*J-クレジット制度経済産業省・環境省・農林水産省が制度管理者となり、2013年から運営されているカーボン・クレジット制度。CO2などの温室効果ガスの排出削減量や吸収量を「クレジット」として国が認証する制度で、省エネルギー設備の導入や再生可能エネルギーの導入、森林管理プロジェクトなどが対象として認められている。クレジットの購入企業は自社の温室効果ガスの排出削減量に加えることができる。