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カテゴリ:映画
NHK人間大学・教育テレビ1995/10~12月放送
「映画はついに100歳になった」 四方田犬彦 のテキストを取り出してきて、読み返してみました。 私は若い頃から映画を見ても、映画批評というものを読んだことがありませんでした。自分の感動や考えたことが評論家の批評に侵食されるような気がして、嫌だったのです。 今思えば不遜極まりないことで、そのせいで映画を実際には独りよがりな、自分の背丈でしか鑑賞していなかったことに、気がつきました。それでも、一本の映画を選択して観るということは、とても個人的な行為だからなのでしょうか、映画批評というものを参考にはしても、自分の感想は結構頑固なものだと思います。 ところで、この四方田犬彦氏の放送講座は、私のような頑固な初心者にも非常に解り易く役に立つものでありました。 今まで知らなかった映画の歴史や、制度としての映画、時代の政治・歴史的状況の産物である映画について教えられました。 全部を書くことは出来ませんので、少しだけメモしておこうと思います。 *二十世紀が生み出し得た三つの文化的生産物とは、映画産業、精神分析、ファシズムであるとはよくいわれることです。 *異化効果---ドイツの劇作家ベルトルト・ブレヒトが提唱した演劇理論。日常的な事物を異様なものとして提示し、見る者の現実認識をめざめさせようとすること。 (アリストテレス以来のカタルシス演劇論への批判に基づく。) *映像がわたしたちの歴史と記憶のシステムをさまざまな形で操作し、不自然なものに変えてきたとすれば、問題はその映像の生産と分配と消費の歴史を辿ることにあります。人々がいかに映画を見てきたか、そのまさに「見る」という行為の制度化の歴史が書かれなければならないのです。 *世界の映画の歴史を振り返ってみますと、面白いことに、もっとも新しい動きというものはけっしてひとつの都市や国家に集中しているのではなく、むしろ次々と移り変わっていっていることがわかります。 *目次/1.映画の歴史とは/2.サイレントの後継者/3.夢のスクリーン/4.映画とファシズム/5.誰がパゾリーニを恐れるか?/6.音声とはなにか?/7.日本映画と弁士/8.映画と恐怖/9.オペラから映画へ/10.歌舞伎と映画/11.メロドラマのすばらしさ/12.見ることの歴史 *は「映画は100歳になった」のテキストからの引用です。 映画についての印象に残った部分を脈絡なくメモしました。 テレビで見た四方田氏は、すごそうな人物でありました。 ネットで映画について感想を話し合えるという楽しさは、また新しい映画鑑賞の域を広げたように思えます。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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