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2009.05.19
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カテゴリ:映画
この映画も楽しみにしていた。
が、

「ノーカントリー」 2007/米

監督:ジョエル・コーエン、イーサン・コーエン
主演:トミーリー・ジョーンズ、ハビエル・バルデム、ジョシュ・ブローリン

なにー、この終わり方あ~あ~
わからん!
映画観るのが嫌になってしまうではないか!

なんていうことで、引きずることはなはだしく、ネットで検索していたら
町山智浩さんのブログによると、映画の原題「No Countory for Old Men」はイェイツの詩の一行からとられているとのことだった。

アイルランドの詩人W・B・イェイツ(1865-1939)の詩
「ビザンチウムへの船出」の冒頭

That is no country for old men.

に始まる有名な詩らしく、たまたま私の持っていた「世界名詩集」にも載っていて
高松雄一訳で読むことができた。

この詩の訳も解釈も三者三様で難しいのだが
2節が映画にも通ずるものを感じたので、高松訳のものをここに書きおきたい。
(1節は町山さんのブログで読める。訳されたのはご本人だと思われる。)

      2

  老いぼれというのはけちなものだ、
  棒にひっかけたぼろの上衣にそっくりだ、
  もしも、魂が手をたたき、うたうのでなければ、
  その肉体の衣が裂けるたびに、さらに声高くうたうのでなければ。
  それに、魂の壮麗さの記念の碑をまなぶほかに、
  歌の学校などあるはずがない。
  だから、おれは海をわたって、
  聖なる都ビザンチウムへきたのだ。
 

また同じ「ビザンチウム」「青金石」という詩のなかにも、この映画の感想を語ってくれる行があったので、好き勝手に抜書きしておく。


* 夜歩く者たちの歌が。
 星明りの、または月明りの円屋根(ドーム)は蔑視する、
 人間存在のすべてを、
 ただの錯雑にすぎぬもののすべてを、
 人間の血管の狂暴と汚辱を。
 おれの前にひとつの幻が、人が、あるいは影が、ただよう。
 人というよりはむしろ影、影というよりはむしろ幻。
 ミイラの布をぐるぐる巻きつけたこの冥府(ハーデーム)の糸巻きは、
 曲がりくねりゆく小道をときほぐすかもしれぬ。
 湿りけもなく、息もしないひとつの口が、
 息のとぎれた数多くの口を召喚するかもしれぬ。
 おれはこの超人的なるものに挨拶を送る。
 おれはこれを生のなかの死、死のなかの生と言う。


* 舞踏場の床の大理石が打ちくだく、
 錯雑の苦い狂暴を、
 なおも新しい幻を生みだす
 あの幻どもを、
 

* 悲劇は極限に達した。
 たとえハムレットがしゃべり、リヤが猛り狂おうと、
 十万もの舞台で、
 すべての幕切れがいちどきにこようと、
 悲劇はもうこれっぽっちも高まりはしない。




随分映画の内容からもそれてしまったが、機会があればもう一度見直したい。
それと原作「血と暴力の国」コーマック・マッカーシー
も読んでみたい。










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Last updated  2009.05.19 14:49:46
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