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2005.04.02
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カテゴリ:美術
ラ・トゥール展のカタログを読んでいました。美術展のカタログをこんなに熱心に読んだのは(読めたのは)はじめてです。それだけ再発見されてからの研究や熱狂の記述が面白かったということでしょう。この劇的な再発見の物語と科学的な研究、そして発見のたびに再構築されていく生成の途上であることを知るにつけ、<ダイヤのエースを持ついかさま師>の登場人物の目つきや姿が彷彿としてきます。
現代の我々を見ているラ・トゥールの姿のように思われくるのです。

ラ・トゥールは1593年ロレーヌ公国に生まれています。
(奇しくも先日日記に書いた、ジャン=ピエール・ジュネ監督もロレーヌ地方出身です。)
戦火と疫病(ペストや天然痘)の蔓延する時代に、「国王付画家」として成功を収めた画家であり、その絵は高額で買い上げられていたようです。
貴族の身分の女性と結婚したことや、絵画の技がそれ自体高貴であることを理由に、税金の免除や社会的特権を得るよう、ロレーヌ公アンリ2世に請願書を送って許可されていること。
ロレーヌに侵攻してきたフランスのルイ13世の忠誠宣誓書にサインしていること。
フランス軍による略奪、蹂躙、放火によってラ・トゥールの工房も、絵画も多数焼失したであろうこと。
家畜に対する税の支払いを拒んで、税収吏を蹴っていること。
ラ・トゥールを非難する嘆願書が、ロレーヌ派の住民たちにより亡命先のロレーヌ公に提出されていること。
巡査と農夫を殴って、その治療費を支払っていること。
1652年胸膜炎で死亡していること。
などが、古文書によって明らかになっているようです。
(興味深かった部分を独断と偏見で、抜粋してます。)
そして1915年まで何故忘れ去られた画家だったのか、その絵の魅力と共に興味がつきないところなのでしょう。

画像はチケットをスキャンしたもので、<聖ヨセフの夢>です。
一目見て、われを忘れてひきつけられる絵でした。









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Last updated  2005.04.02 14:46:43
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