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カテゴリ:映画
『午後の五時』At Five in the Afternoon
2003/イラン・フランス サミラ・マフマルバフ監督 ムービープラスで観ました。 アメリカの空爆後・タリバン政権崩壊後のアフガニスタンに生きる女性を主人公にした映画。 アフガニスタンの女性大統領になろうと、考える女学生。 スペインの詩人、ロルカの詩の一節と共に映画は始まる。 ああ あの恐ろしい 午後の五時 すべての時計が 午後五時を指していた 夕暮れの薄暗い影さす 午後の五時 アフガン社会の根強く古い因習、荒廃した建物、砂漠、パキスタンからの帰還民、人々の自負と誇りと絶望と希望。 すぐそこにある死。 空を飛ぶ軍用機。フランス兵との英語での会話。 それは午後の五時だった きっかりと午後の五時だった あとはすべて死だけ 死だけが残っていた 詩人との出会いと別れ。兄の死。赤ん坊の死。 白いハイヒールと黒い靴。ブルカと日傘。 写真を過ぎて、天秤棒に水桶を両肩に荷って、砂漠へと。 川のように涙を流したい やさしい霧と 岸辺に深く抱かれた川 それは雄牛の死骸を 流し去ってくれるだろう 雄牛はお前を知らない イチジクの木も馬も 家を這い回るアリも お前が永遠に死んでしまったからだ 張り裂けそうな苦しい胸のうちをあかせるのは、ロバだけ という年老いた父。 神の死を語る老人。 棲家を出て、馬車も燃やしてなにもかも失って、 砂漠を歩く。 冒頭の一節が繰り返されて、映画が終わる。 それは午後五時だった 死だけが残った ああ あの恐ろしい 午後の五時 すべての時計が 午後の五時を指していた 夕暮れの薄暗い影さす 午後の五時 監督は22歳。モフセン・マフマルバフ監督の長女。 マフマルバフ・ファミリーは、夫妻一男二女すべて映画監督。 これは私の貧弱な頭では想像できない、事柄だった。 そして貧弱な頭そのままに、この映画についてうまく語る言葉が出てこなかった。 ネットで検索して多くのレビューを拝見していたら、もう私の書ける言葉がなくなってしまった。 見すぎてしまった。(笑) 映画の中で朗読されていた詩を、字幕から拾って書き写してみた。 ここで引用されている詩は、フェデリコ・ガルシア・ロルカの「イグナシオ・サンチェス・メヒアースへの追悼歌」の一部で、闘牛士を悼んで発表されたものだそうだ。 映画で描かれていたアフガンの女性たちは、皆、とても強かった。 私たちの想像を拒むように、はるかにはるかに強かった。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2006.05.24 15:43:11
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