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2007.09.23
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カテゴリ:読書
▼…(略)私は前述の二つの仮説に固執するつもりである。その一は、たとえ一般的にはゲーテが正しく、詩人には一般人より多くが許されているとしても、詩人も罪と責任の重荷に耐えねばならぬほど重大な過ちを犯しうるということ。そして第二は、かれらの過ちの大きさを明瞭に測る唯一の道はかれらの詩に耳をかたむけるということである。---このことはすぐれた一行の詩を書く能力も完全に詩人の意のままになるというより何らかの援助を必要とすること、その能力はかれに与えられたものであること、かれはそれを失うこともあることを意味している。  p.338


▼…(略)とくにこれを選んだのは、これがそうした生命の賛歌に非常に顕著なもう一つの要素を描いているからである。すなわちそれは、ブレヒトの作中の冒険者や追放者に特有のぞっとするほどの自負という要素、言い換えれば絶対的に心配をもたぬ人々の自負であり、かれらは自然の破滅的な力にのみ屈服するが、尊敬すべき魂の高度な苦悩を別として、尊敬すべき生活の日常的苦悩には決して屈服することがない。  p.359


   
▼問題となるのはまたも大空、人間が存在する前からそこにあり人間が去って後もそこにあるだろう大空であり、それゆえせいぜい人間にできることは束の間人間のものとなっているものを愛することなのだ。
(略)
たしかにこの世界には永遠の愛も普通の誠実ささえも存在しない。存在するのはただ強烈な一瞬、すなわち人間自体よりもさらに壊れやすい情熱である。  p.357-358



 

        『暗い時代の人々』アーレント
         ベルトルト・ブレヒトの章より
         (ちくま学芸文庫)








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Last updated  2007.09.26 02:12:27
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