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2007.10.07
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カテゴリ:美術
テレビで見た竹の映像に撃たれて、埼玉県立近代美術館の「勅使河原宏展・生誕80年」へ。
最終日の前日となる日曜日。

まず館内のインスタレーション竹のトンネルを通り抜けると、風を感じて身体がふらっとそよぐような感じ。
映画監督としてしか知識がなかったのだが、東京美術学校時代の油絵、草月流第三代家元・陶芸・書・作庭・竹のインスタレーション、どの仕事も勅使河原宏の世界を築いていて呻ってしまう。

戦後、前衛芸術運動に身を投じ、岡本太郎、阿部公房らの「世紀」に参加したそうだ。
八月十五日がすべての起因となっているという事だった。
一時共産党の工作員として働いていたこともあるそうで、前衛芸術が社会運動に結ばれていた時代のことを思い起こさせられた。

その後世界的な名声を獲得していくわけだが、権威というものが人を動かす力、その豪華さ正当さ、ゆたかな人脈、財力などについて考えさせられた。
館内で放映されていた、厳島神社での武満徹追悼公演で千本の竹が人力によって生まれ変わっていく様子、霧や和紙を使った竹のインスタレーション会場設置の様子など、引き込まれて見入った。
「他人の顔」「砂の女」「落とし穴」の映画予告編も見ることができたが、斬新なものだった。私は当時17歳から21歳くらいだったはずだが、学生時代は暗い穴の中でもがいてばかりいたので(今でもソウだあ~?)見逃してきたものがあまりに多い。

生まれながらに身についた権威なんて在りはしないか?
誰が権威を与えられえるのか?
そんなことはしゃらくさい事か?

「焼き物も、書も、竹の造形も、作庭も、私の場合はすべて独学できた。
考えてみれば、映画もそうだった。その方が自分にとって楽しいのである。」

ダイナミックに削ぎ落とされた独創的空間の迫力、人の感性を刺激してやまない力、日本的芸術の完成度、そんなことを考えていい心持になってそよぐひとときを過ごした。







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Last updated  2007.10.09 22:14:29
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