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カテゴリ:読書
アーレントを読んでいて、もやもやした不満や難解さに煮詰まってしまうとき、ジュリア・クリステヴァの『ハンナ・アーレント』を読むと、解きほぐされた気分になれる。
そこにはまた言説の迷路があるのだけれど。 そのジュリア・クリステヴァについて書かれた詩も、『ピューリファイ』にあった。 偶然に驚きつつ、全文引用させていただきます。 (何度も見直しましたが、写し間違いのないこと祈りつつ) 何故ひらがな書きなのかわからないが、日本の洗礼名のように感じて面白い。 じゅりあ・くりすてう゛ぁは…… 藤井貞和 だれがかたるか だかれるかたか だれるかかたが だがかたるかれ かがただれるか ただれるがかか かかれるがただ たかるかだれか かれがかるただ かるたがかれだ じゅりあはいう、「誰が語るか?」 じゅりあはいう、「両性の戦い」 じゅりあはいう、「言葉に汚れていないもの」 じゅりあはいう、「時間なしに」 じゅりあはいう、「存在しないことを欲するわたくし」 う゛ぁーじにあは入水する ぽけっとに石を入れて、言葉なく まりなは縊死する 一九四一年、深くて古いろしあ語の記憶の底で しるう゛ぃあはさりげなくて逝く 斧よ、斧 それで一打ちすれば森は鳴り響く そしてこだまが! と書いて そうだ、こだまが、深くて古い日本語だったころ 一九四一年、じゅりあは生まれた、ぶるがりあから まりな・つう゛ぇたいえう゛ぁの死んだ日 じゅりあは生まれる、<真理の女神>が 左脚の位置に右脚を置き その脚を前方に、女神と <時の神>の性器とのあいだに伸ばしているとき 右脚の位置に右脚を置き そのひだりがわに 左脚を置いて 中心にある性器から生まれる じゅりあ 詩人の死んだ日 じゅりあの生まれた日 じゅりあのいう、「両性の戦い」 たたかいのいう、「両性のじゅりあ」 両性のいう、「じゅりあの戦い」 じゅりあのいう、「言葉に汚れていないもの」 言葉のいう、「じゅりあに汚れていないもの」 汚れのいう、「じゅりあに言葉でないもの」 じゅりあのいう、「時間なしに」 時間のいう、「じゅりあなしに」 じゅりあのいう、「存在しないことを欲するわたくし」 存在のいう、「じゅりあのいないことを欲するわたくし」 わたくしのいう、「じゅりあのいないことを欲する存在」 あ、言葉 あ、汚れ あ、時間 あ、存在 じゅりあは行く、戸県(ふうしぇん)を 砂ぼこりのなか 曳かれてゆく柩は 言葉のない広場のかなたへ <誰が語るか?> 顔の中の声器から問う 音のない大声と 身体のない巨躯で じゅりあは 肛門と 美しい眼差で *躯は身+匚の中に品の旧字体が使われています お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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