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カテゴリ:読書
この本は立花隆氏が東大の教養学部で開設していた
「調べて書く、発信する」から生まれたそうだ。 そのゼミ生だった、木村俊介さんが生前の埴谷雄高氏をよく知る 27人にインタビューして、埴谷さんの多面的な人間像を 描き出している。 あぶりだしている、えぐりだしている、とも思う。 1999年平凡社より刊行された 「奇抜の人ーー埴谷雄高のことを27人はこう語った」 を改題文庫化(文春文庫)されたもので読んだ。 2009年3月10日刊 この本は非常に面白くて、この後にまた埴谷作品を読み返すと 理解が進んだり、シンとした気持ちになったり、 反発したりとゆれてくる。 27人中での、坂本龍一さんのインタビューは「自由度」という タイトルになっている。 埴谷さんは、 「人が自由意志でできる行為として、自殺と子供を作らないことしかない」 という思想上の理由から、子供を作らなかった。 奥さんは現実に3~4回も堕胎させられたらしい。 坂本さんはインタビューで「何かを評価する際の基準」の一つとして イデオロギーではなく精神の自由度の度数をあげている。 ドビュッシーは百点満天で89点、埴谷雄高は97点だそうだ。 点をつけるときは、属す共同体からいかに離れるかが大きい。 共同体のパラダイムからいかに自由か。 そこで坂本さんにとって武満徹は点が低いそうだ。 さらに「といってもほとんどDNAが人を規定してるので、 本当は誰も自由になれっこないんですよ」 とも話している。 で、ふいに過日、60歳の同級生の友達と話したことを思い出した。 1000万円もらったら、全身整形して人生やりなおしたい! 自由度限りなく0に近く生きてきた女達の、 可能なら遺伝子操作もしたい、DNAを超越する願いなのだ! またこのインタビュー中、破壊のエネルギーの表現よりも 肯定的エネルギーの表現が難しいとも語っている。 共生のエネルギーは、破壊のエネルギーよりずっと大変かも、 としみじみ思う。 私は子供を作らない自由は否定しないけれど、埴谷さんの奥さんは どんな方だったのかな、と知りたくなる。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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