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2009.03.22
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カテゴリ:読書
序・形而下と形而上のプロフィール
が、この本の最初に立花隆氏によって書かれている。

「埴谷雄高没後2年、やっと埴谷雄高という稀有な人間の人間的存在感あふれるプロフィールが、三世代も四世代もちがう記述者(←木村俊介氏)の筆を得て、その本当の幅と広がりをもって描かれたと思う。」

とあり、私も同感だったのですが、ここで「形而下」という言葉に私は脂汗の出るような思い出があったこと思い出しました。


私は10代の初め頃から、人や日常生活に上手く適合できない自分の性格を持て余しており、
こういうみょうちくりんでへなちょこりんは、詩の世界にしか居場所は無いだろう、
と勝手に思い込んでいたのでした。
文学で身を立てようなどとはとうてい考えてもいなくて、どこかの片隅で秘かに書くことを続けて行きたい、というのがその頃の夢だったのです。

ところが家庭の事情で文系には進めず、薬学を卒業。そこで出合った人と結婚、2児の母となった訳ですが、下の子供が幼稚園に入った頃にも、昔のままのへなちょこりんは直らず。
10代の夢を実現するべく、居場所を求めて動き始めたのでした。
35歳からの出発でした。

まず高田敏子さんの詩の教室から始めて、何人かの詩人の方に学ぶことができて、私は念願かなったヒヨドリみたいに楽しくてうきうきしていました。

ところがある会で「形而下」という言葉が出たとき、私はその言葉を知らず、ひどく下品な受け答えをしてしまい、その場にいる人たちを唖然とさせ白けさせてしまったのであります。

それから私のコンプレックスは怒涛のごとく、また「詩」とは私の考えていたような物ではないことも思い知らされることになったのでした。

それからまた十数年を経て、懲りずに哲学の講座に出てみたりしているのですから、
私のみょうちくりんな性格は、直りそうもありません。


そして何度目かの沈没をしていた私が、埴谷さんの映像に救われたのは、その自由度にあったのかも知れない、と思うのです。











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Last updated  2009.03.22 15:29:29
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