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カテゴリ:映画
この映画も楽しみにしていた。
が、 「ノーカントリー」 2007/米 監督:ジョエル・コーエン、イーサン・コーエン 主演:トミーリー・ジョーンズ、ハビエル・バルデム、ジョシュ・ブローリン なにー、この終わり方あ~あ~ わからん! 映画観るのが嫌になってしまうではないか! なんていうことで、引きずることはなはだしく、ネットで検索していたら 町山智浩さんのブログによると、映画の原題「No Countory for Old Men」はイェイツの詩の一行からとられているとのことだった。 アイルランドの詩人W・B・イェイツ(1865-1939)の詩 「ビザンチウムへの船出」の冒頭 That is no country for old men. に始まる有名な詩らしく、たまたま私の持っていた「世界名詩集」にも載っていて 高松雄一訳で読むことができた。 この詩の訳も解釈も三者三様で難しいのだが 2節が映画にも通ずるものを感じたので、高松訳のものをここに書きおきたい。 (1節は町山さんのブログで読める。訳されたのはご本人だと思われる。) 2 老いぼれというのはけちなものだ、 棒にひっかけたぼろの上衣にそっくりだ、 もしも、魂が手をたたき、うたうのでなければ、 その肉体の衣が裂けるたびに、さらに声高くうたうのでなければ。 それに、魂の壮麗さの記念の碑をまなぶほかに、 歌の学校などあるはずがない。 だから、おれは海をわたって、 聖なる都ビザンチウムへきたのだ。 また同じ「ビザンチウム」「青金石」という詩のなかにも、この映画の感想を語ってくれる行があったので、好き勝手に抜書きしておく。 * 夜歩く者たちの歌が。 星明りの、または月明りの円屋根(ドーム)は蔑視する、 人間存在のすべてを、 ただの錯雑にすぎぬもののすべてを、 人間の血管の狂暴と汚辱を。 おれの前にひとつの幻が、人が、あるいは影が、ただよう。 人というよりはむしろ影、影というよりはむしろ幻。 ミイラの布をぐるぐる巻きつけたこの冥府(ハーデーム)の糸巻きは、 曲がりくねりゆく小道をときほぐすかもしれぬ。 湿りけもなく、息もしないひとつの口が、 息のとぎれた数多くの口を召喚するかもしれぬ。 おれはこの超人的なるものに挨拶を送る。 おれはこれを生のなかの死、死のなかの生と言う。 * 舞踏場の床の大理石が打ちくだく、 錯雑の苦い狂暴を、 なおも新しい幻を生みだす あの幻どもを、 * 悲劇は極限に達した。 たとえハムレットがしゃべり、リヤが猛り狂おうと、 十万もの舞台で、 すべての幕切れがいちどきにこようと、 悲劇はもうこれっぽっちも高まりはしない。 随分映画の内容からもそれてしまったが、機会があればもう一度見直したい。 それと原作「血と暴力の国」コーマック・マッカーシー も読んでみたい。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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