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2009.06.27
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カテゴリ:読書
同人誌でご一緒だった小長井和子さんが、詩人で亡夫、入江亮太郎(本名・小長井裕雄)氏の生涯と作品をたどるご本を、幻冬舎ルネッサンスから出版された。
2008年10月発行。

没後23回忌に、その生き方と作品を風化させるに忍びず書き留められたと、お葉書にあった。詩作を絶った晩年の二年間に、入江亮太郎氏がものされた俳句も「小裕句集」として卯辰山文庫よりすでに平成9年に出版されており、亡きご主人への鎮魂と深い想いをたどる旅を続けていらっしゃる。
ご自身もご主人の亡きあと俳句をはじめられ、現在「海程」同人としてご活躍され、
平成13年に句集「絹雲」を上梓されている。

入江亮太郎(1925-1986)
1948年脊椎カリエス発病
1950年『詩学』新人賞受賞、北杜夫との共同受賞、選者村野四郎
1951年~61年
『零度』参加、新日本文学会入会、詩人会議、『現在詩評論』『彼方』などに参加、文芸春秋社出版部社外校正のお仕事にも従事される。

その後再び健康を害され、詩文を公にすることなく俳句、江戸文学などに親しみつつ、1986年食道癌のため逝去。享年61。


私は浅学のため入江氏についてなにも存じ上げず、和子氏を介してその片鱗をうかがうばかりなのだが、その詩人としての孤独で頑迷な生き様は、和子さんにとって修羅の地獄のようなときもあったであろうと推察する。恋愛から結婚後も高校教師として生活を支えられ、夫への尊敬と愛、そしてさまざまな葛藤を抱えられていたことであろう。


このような夫婦のありかたは、私に故郷の恩師Mご夫妻を思い出させた。
M先生も肺結核で50年にわたる闘病生活を送られた。
女の先生は小学校の教師をされ、生活のほとんど全てを担われた。
男の先生は小さな、自称寺小屋塾を開かれて、村の悪がきたちを教えていた。
女の先生は小学1年生の私の担任だった。
男の先生には小学6年生から教えを受けた。
お二人に受けた影響は計り知れない。
平成9年、男の先生が72歳で永眠され、その後1年かけて男の先生の残された104冊の日記をもとに女の先生が遺稿集としてまとめられたのが、「たそがれのうた」だ。
喪失の寂しさ哀しさを埋めるために、男の先生が女の先生に言い置かれたことだったのかも知れない。


結核菌は世界中の人の人生や、思潮に大きな影響を与えて沈静化した。
私の世代では周りに結核の死の淵から蘇った人たちが沢山いて、
私達に生きる指針を示してくれた。


またご本から話がそれてしまったけれど、身近な人への思い出が、紹介文や批評めいた感想文を書かせてくれない。








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Last updated  2009.06.29 14:20:22
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