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カテゴリ:桜木悟史のコラム
ひさしぶりにアニメの感想記事を書きます。 今期はなかなかの良作揃いでした。中でも先日、最終回を迎えた『ゆるキャン』『宇宙よりも遠い場所』の感想について書いていこうと思います。あまりネタバレは含んではいませんが、最後まで見て頂いた上で読んで頂いた方がいいかと思います。 『ゆるキャン』 視聴前はキャンプという特定の趣味が題材、かつ、きらら系ということで良くも悪くも期待してなかったわけですが、想像以上に良い作品でした。 特定の趣味を題材にした作品は、その趣味に関する知識を織り混ぜながら作品を展開していかないといけないので、ストーリーと説明のバランスをうまくやらないといけない訳ですが、この作品はそれがうまくできていたと思います。 おそらく本作を見て「キャンプやってみようかな?」と思った方は多いはず。自分がアニメを評価する上で【見た人の行動を変えさせる作品】という点は高評価のポイントで、本作はそういったパワーを感じさせました。 加えて、声優陣の演技もこの作品を魅力的なものにしています。 なかでも個人的に驚いたのは東山奈央さん(リン役)の演技でした、東山さんといえば『ニセコイ』の千棘のような感情豊かなキャラのイメージが強かった訳ですが、今回のリンはテンションがあまり大きく変動しないキャラなので「どうかな?」と思った訳ですが、終わってみればまったく違和感のない演技でしたね。それを見事に演じた東山さんもさることながら、このキャスティングを決めた制作の方は見事だなぁと感心しました。 おそらくこのアニメ自体はそこまで予算が高くなかったとは思うのですが、その中でもごく自然に静止画のカットを混ぜ込んだり、LINEのようなトークアプリでの声優の掛け合いで笑いを取りに行くなど、随所に工夫がみられた良作でした。原作のストックがたまったら二期をやって欲しいですね。 『宇宙よりも遠い場所』 この作品は、勝手に「ラブライブ+けいおんのいいとこどり」だと思っています。 アニメの中身としては南極に向かうまでの日常を楽しむ作品になっています。そして、髪の色も非現実的な色を使わず、出てくるキャラクターも美人すぎない・可愛すぎないという点は「けいおん!」と似ていると思います。 その一方で、南極に行くという志の部分、そして登場人物たちがそれぞれに心の中に葛藤を秘めている点は「ラブライブ」に似ており、全体のストーリーはラブライブ寄りだと言えます。 分類すると「青春グラフティ」となるわけですが、では青春とは何か? 青春というと一般的には「若い時にあんなことに挑戦した」とかそういうイメージでしょう。何をやったか?そういう角度で描かれることが多いのです。 そういう意味では本作は「女子高生が南極に行く」というズバリ青春どストライクな作品なのですが、実は青春は「●●に挑戦した」ということだけではない、ということを本作は話しています。作品の中でキマリたち自身が話していますが、「誰と過ごすか?」も重要であると。「一人で南極に来ても何も変わらなかった」だろうと。 南極に因縁があった報瀬も同じ。あれだけ南極に行くことに執念を燃やしていた彼女は、意外にも南極に来ても感情が動かなかった。でも、一緒に来てくれた友達が必死に母親の形見を探してくれて、そして見つけることで彼女の心の時計の針が動き出すわけです。 そして、大人になっても南極観測隊の人たちのように仲間がいれば、年を取ってからでも青春はできる。それこそOPの歌詞の「一緒にいると、なんだってできる」わけです。行動を変えるのは環境ではなく、周りにいる人だと。そんなメッセージが伝わってきます。 それでいて、この作品の素晴らしいところは「仲間が大切」ということをテーマにしつつ、最終回でキマリが自分の足で歩き出すことを表明している点です。「これからもずっと4人一緒だよ」となりそうなところを、あえて違う方向に足を踏み出す。最初、自分では何も決められなかったキマリの成長を描いている点もまさに青春と言えます。 「友情は重要。だけど、本当の仲間になるためにはお互いに自立した関係でなければ真の仲間にはなれない」 南極という厳しい環境で運命共同で過ごすには、周りに依存するようではいけない。こんなメッセージも込められていたのではないか、と勝手に解釈しています。 個人的には、11話「ドラム缶でぶっ飛ばせ!!」は神回。10何年、アニメを見てきていますが、その中でベスト3に入れていい、気持ちのいい、それで感情を揺さぶられるストーリーです。 2018年の最優秀アニメにノミネートします。 (桜木悟史 @satoshi_style ) ←人気ブログランキング参加中! お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
April 7, 2018 08:58:40 PM
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