ストリング張りに対するこだわり
昨日の試合&練習で2本ともストリングを切ってしまったので,張り替えに行ってきました。 いつもお願いしている店は月曜庭球じゃなかった定休な上,翌日にナイター練習を控えていたためどうしても今日中に張らなければいけなかったのです。 急遽以前からチェックしておいたストリンガー個人が開いているお店に行って来ました。 まさに職人。 自分も最高のサービスを提供するが,客にもそれなりの自覚と心構えを求めるよ,っていう雰囲気がありあり。 客に媚びたり,迎合したり,ってことがないんです。 まあ,一見さんだからそう感じただけかもしれないんですが。 以下(最後にあります)の会話の通りやりこめられてしまいましたが,私はそのストリンガーさんに好印象をもちました。 変わっているかもしれませんが,食べ物屋ならどんなに有名店でもおいしいと言われている店でも態度に少しでも横柄な感じがあれば絶対に認めません。 こんな店で食えるかっ!!って感じで。 気持ちが乗らなければおいしくは感じられませんから。 でも,物に対しては違うんです。内容に納得すれば,対応などは人としてどう?というレベルの不快感がなければ気になりません。 ストリング張りでいえば,感じのいい店員の店でも左右非対称などの(実際にあったんですっ!!)粗末な張りをされたら二度と行きませんが,ぶっきらぼうでも,いい張り上がりであればまたお願いしに行きます。 張り代にしたって,安い店でも1,000円はとりますし,こだわっている店でも2,000円くらいですから,そんな差は技術料とすれば安いものです。注 その人固有の高い技術の恩恵を受けられるなら1,000円の差は安いと思うということです。1,000円がたいしたお金ではない,という意味ではありません。いや,それどころか,1,000円は大金だと思います。 さて,どんな張りなのか楽しみです。明日のナイター練習でじっくりと味わってきます。以下,おみせでの会話です。ストリンガーさんは「ス」と,私の心の声や,想像で補ったところは()にいれて表記します。ス「何ポンドで張りますか」私「(店とマシンによって違うからなあ)以前の店では電動式のマシンで45ポンドでした」ス「そんなやわらかくていいんですか?」私「面圧では58~60位です。標準的な固さより少し固めがいいんですが。」ス「(面圧を測る機械はないので張力の)数字を指定してもらわないと。感覚ではわからないし,世の中でどこでも通用するのは数字でしかないですから。」私「店によって違いますからね。大手のテニスショップでは60位でお願いしていました」ス「そういわれても私はそこにいたことがないのでわかりません。」私「店によってあまりにも数字が違うんで,何とも言いようがないんです。何か見本になるようなものはないですか。」ス「数字は世界各国共通ですから,どこで張っても同じ固さになるはずなんですけど。(これはたぶんいい加減な店に対する皮肉だと後から思いました。)そういうことはそのお店に言った方がいいですね。」私「(何か見本になるものがないかなあ。お,デモ用のラケットがあるぞ)これだと緩すぎます。」ス「それはメーカーが持ってきた物で,こちらで張った物じゃないから参考になりませんね。数字で指定してください。」私「(とりあえずそのラケットを手にとって感触を見てくれればいいじゃん。と思いながら)では55でお願いします。」ス「55でいいんですね。」私「(話しててもラチがあかないし)はい,それでお願いします。」・・張り上げ開始。 小難しい職人気質とみて,作業中はあえてこちらからは話しかけませんでした。ここまでの印象は可もなく不可もなく。私が45~60の数字を出したので,それじゃわからん,といわれるのも当然。上記のやりとりも納得です。店内はストリンガーと私の2人のみ。置いてあるテニス雑誌をみていました。ス「このグロメットはかなり痛んでますね。しかも,いろいろな人が毎回違う方法で張っていて,直近の人はかなり苦労して張られた跡がありますよ。次回はグロメットも交換した方がいいですね。ラケット自体も痛んでますが,このラケットは何年ほど使っていますか。」私「(確かに芯をはずしたときの振動の感じが変わったもんな。)もう5年になります。このラケットのグロメットはまだ手に入るんですか。」ス「はい,ありますよ。」私「では次回はお願いします。」・・ちょっとした短い世間話のあとス「私もはじめてのお客さんがくると疲れるんですよ。」私「はあ・・・」ス「というのは,皆さん,悩んでこられるんですよね。前回張ってもらったところで満足すれば別の店にはいかないものでしょう。お客さんもそうでしょう?このいろいろな人が張った跡を見ればねえ。それをわざわざ来るってことはどこかに不満があるってことですよね。だからこちらもいろいろとそのお客さんの希望や好みを探らなきゃいけないし。」私「確かにそうですね。以前張ってもらったところで,明らかに左側と右側でテンションが違う張りをされましたから。それがきっかけになって,いろいろな店を探すようになったんです。」ス「ちまたではよくあることのようです。お客さんはそのときその店にはどうしたんですか。」私「いえ,特に何も。二度とくるものか,と思ったくらいで。」ス「きちんとその場で張りを確かめて,納得しなかったら金は払わん,というようにすべきじゃないですかねえ。もったいないですよ。張り上がりはその場で確かめなかったんですか。」私「(右手でラケットを持ってフェイスの)真ん中を(左手の)手首に軽く打ち付けて確かめたくらいです。」ス「(そんなんじゃ足りないでしょうと言いたげに)そうですか。」・・作業は続き,20分後にできあがりました。 機械からラケットをはずして手に取り,床との間でボールを打ち弾ませ続けて状態を確認しています。そうか,こんな方法があったか,と思いながら・・・私「ありがとうございました。」ス「これでこのラケットにとっては最高に近い状態になりました。これ以上の張りを求めるなら外国へいってください。」私「え,どういうことですか。」ス「ホームページにもプロフィールを書きましたが・・・」私「(ああ,そういうことか。国内ではNo.1という自負があるんだったな。)拝見しました。明日早速使うので楽しみにしています。」ス「できあがりはよろしいですか。」私「(そうだ,早速さっきの方法でやってみよう。ボールを弾ませて)あ,このくらいの固さがいいです。ちょうどよかった。OKです。」ス「では次回いらっしゃるときは会員になってください。今回は会員価格で請求しました。」私「ぜひよろしくお願いします。」かなり省略はしましたが,以上です。文字だけでみるといやみな人にもみえなくはないですが,若くても本当の職人でしたから,悪い感じはしませんでしたね。 参考までに。実際に打ってみた感想です。ラケットはヘッドのプレステージクラシック600(赤いラケット,ノーマルサイズ)ガットはSavarezのFirst Blueです。これまでとは異なった感触でした。 スウィートエリアで打ったときのみ抜けるような気持ちのいい打球感。少しでもはずすと金属的な音と感触がありました。 好みの感触です。ただ,金属感はガットを変えた影響もあるかもしれませんし,ラケットやグロメットの傷みが表に出てきたのかもしれません。次は同じガットでグロメットを変えてお願いしようと思います。 そう,また次回もお願いすることにしました。