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カテゴリ:読書・小説 雑誌
三章
ライバル 源次郎と裕一は、大事な一人娘の交際を認める事は無いと思ったのである。 源次郎が「私もかなりの頑固者ですが、真奈美さんのお父様と会って、一度、頑固比べがしたいものですな、私と裕一を、お父様に会わせて貰えませんかな」と言った。真奈美は源次郎と裕一が、伸一郎と会った時の事を想像していた。真奈美は、裕一との交際が駄目になったらどうしようと思っていた。 裕一が「お父さん、遅くなるから真奈美さんを家に送って、私達も帰りましょう。後日、 真奈美さんのお父様に会えば・・・」と言った。「じゃあ後日、お父様とお会いしましょう、良いですね真奈美さん」と源次郎は言った。真奈美は「はい」と返事をしたのである 源次郎と裕一は、真奈美を家まで送り、帰路の車中で、真奈美の両親と会う時期や、伸一郎の事について話し合ったが、会う時期については決めかねていた。 源次郎が「裕一、明日お母さんと三人で、話し合って決めよう、それからだな」と言った。 裕一は「真奈美さんのお父さんが、駄目だと言っても、諦めませんよ」と源次郎に言った。 「そうだな、真奈美さんの為にも、諦める事は出来ないな・・・」源次郎は言った。 そして、二人の乗った車は、都内にある自宅へと向かった。翌日、裕一は、母、登美子を会社に呼んで、朝倉真奈美と交際している事を話したのだった。 交際している事を聞かされた登美子は「裕一、今、朝倉さんと言ったけど、朝倉さんと言えば、お父さんから聞いた事があるけど、アジア建設で企画部長をしていらっしゃる、あの朝倉さんなの」と登美子は言った。「はい、アジア建設に勤めている、朝倉さんのお嬢さんです」と裕一は登美子に言った。裕一の話を聞きながら登美子は裕一と真奈美の交際は、長く続かないと思ったが、裕一が真奈美の事を心から思っている。様子に、登美子は何も言えなかった。 社長室で、登美子と裕一が話をしていると、源次郎が入ってきた。「お母さん、来ていたのか」と言いながら、登美子の横に座った。 「朝倉さんの勤めている会社と、我が社は、 ライバル関係だからなぁ、裕一と真奈美さんの交際を、父親が認めてくれるかが問題だ」と源次郎が言った。 登美子と真奈美は一度も会った事はない。一度会ってみたいと裕一に「一度、真奈美さんと会ってみたいわ、裕一お母さんと真奈美さんが会えない?」と、裕一に登美子は言った。裕一も一度、真奈美を会わせたいと思っていた。 一方、朝倉伸一郎の家では、律子と真奈美は裕一との交際について話し合っていた。 律子も、裕一と一度も会った事がなく、会ってみたいと思っていた。律子も伸一郎から、笹山源次郎と裕一の事は聞かされていた。 「真奈美、お父さんから聞いた話だけど、笹山源次郎と言う人は、とても堅物で強引な人間と言っていたわ」と律子が言った。真奈美は、源次郎と始めて会った時の事を思い出していた。どうしても源次郎が堅物な人柄には思えなかったのである。真奈美は律子に、裕一との交際について、聞いてみる事にした。 「お母さん、裕一さんと電話で話をしているでしょう。どんな感じの人だと思う?」と真奈美が律子に言った。「とても感じが良くて誠実な人みたいね。真奈美の事を大事に思っているわ。お母さんも一度、会いたいわね」と真奈美に言った。真奈美は律子の話を聞いて、気持ちが楽になっていた。裕一に会ってみたいと言った律子の言葉に、真奈美は感激していた。 「裕一さんに、お母さんが会いたいって伝えるね」と律子に言った。 しかし、伸一郎には、律子も真奈美が裕一と交際している事は話していなかった。 真奈美が「もしも、私が裕一さんと結婚したいと言ったら、お母さんは・・・」と言って律子を見た。真奈美の言葉に、律子は笑みを浮かべながら「真奈美自身が決める事だから 私は何も言わないわ、貴女が幸せになれるのなら、それでいいわ」と言ったが、律子も伸一郎に話せば、真奈美と裕一の交際を認める事は無いと思った。 真奈美が「お母さんは賛成してくれる?それとも反対するの?」と言ったが、律子からの返事はなかった。律子も真奈美に聞かれて、 戸惑い、返事をする事ができなかったのである。律子は真奈美が、裕一の事を心から信頼し、愛しているのだと思った。しかし、真奈美の愛する男性が、父親のライバル会社で、 会長の息子である事に、二人の交際を認める事はない、でも、真奈美の幸せを考えると、 二人の交際を、伸一郎に認めさせなければならなかった。伸一郎と律子は、真奈美と裕一の交際について、話す日々が続いていた。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2008年06月14日 07時23分12秒
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