残虐なことに喜びを見出すような・・・
ふと、三島由紀夫を思い出しました。
緻密な文章の中に見え隠れする死をもにおわせる残酷さ。
秋のある日、二組のカップルが山の温泉へ向かう。一緒にいるのに遠い四人にまとわりつく、猫の鳴き声と不穏な影。裸になっても笑いあっていても、決して交わらない想い。男の子のようなナツ、つるりとした肌のアキオ。明るく派手なハルナ、ぶっきらぼうなトウヤマ。大人になりきれない恋人たちの旅の一夜を美しく残酷に描いた長編。
今までは表紙の絵も自分で描いていたようですが、今回は違いますね。画家としてもやっていけるかも、と思ってます。
知らない作家でも図書館で表紙だけ見て借りてきてしまうこともあります。でも、読んで外れたことなし。
新しい魅力が発揮された作品でした。