弘法も筆のあやまり
秋晴れの爽やかな日曜日京都嵐山に行って来た,上の娘の十三参りに。奉納する漢字を一文字書き、これを持ってお寺でご祈祷してもらう。若い住職さんに案内されて本堂の中に、娘は前の赤絨毯に、付き添いの僕等はその後ろに並ぶ。一緒にご祈祷してもらうのは 8名。娘の後ろ姿を見ながら 大きくなったもんだ なんて思っていると住職さん説明が始まった。”十三参りとは、平安時代から続く成人の儀礼。 数え年十三歳に成長した男女が、虚空蔵菩薩様に大人になるための智恵を授かります。 さぁ、胸の前で両手をあわせて。” ごぉぉ~~ん。 ”なむなむなぁ~むおごそかな 鐘の音と共に ありがたい、お経が始まった。 ”なむなむなぁ~む何を言っているのか全くわからない。でも、住職さん。 お若いけれども、なかなかしっかりしてらっしゃる。 ”なむなむなぁ~む本堂に厳かに響くお経の声。 ”なむなむなぁ~むお父さん、これまだまだ続くの? 下の娘が小声で聞いてくる。 お姉ちゃんの大事なお祈りだからね、きちんと手をあわせるんだよ。と答えた僕も、あぁ 長いなぁ と思い始めた時僕でも分かる言葉が聞こえてきた。 ”なむなむなぁ~む 滋賀の ふじ朗 娘ぇ~~ なむなむなぁ~む ”おぉ、みんなの名前を言ってお祈りするんだぁ。 一人、二人と住所と名前を読み上げていく。そして 五人目・・・ 突然住職さんの声が止まる ???妙な沈黙が本堂の中を包む。名前の書いた紙を必死の形相でにらみつける若い住職さんでも言葉が出てこない。 眉間にシワ寄せ首をひねる若い住職さん僕達は笑いをこらえるのに必死。 ごぉぉ~~ん。 十三参り。それは 虚空蔵菩薩様から大人になるための智恵を授かる、平安時代から続く成人の儀礼。娘よ、優しい人になるんだよ。