四つ葉のふくろう

　前の会社のＡさんの仕事を少しだけ手伝うため、とある場所で待ち合わせをしました。

　待ち合わせの場所にわたしが到着すると、すでにＡさんは来ていました。

　「○○さーん！」と彼に手をふると、わたしにペコペコ何度もおじぎをするじゃないですか。

「○○さん、変だよどうしたの」と笑うと…。

　わたしの真後ろに、クライアントが立っていました。
　まるで、背後霊のようにぴったりと。

　クライアントが言うには、電車に乗るときからわたしを見つけ、後ろからぴったりとつけ、おまけに、車中では隣の席に座ったというのです。でも、わたしは最後まで気づかなかったとか。





　……。
　声かけろよ！！！！！！！！！！！！



　…と思いましたが、そんなこと言えるわけありません。

「エヘヘ。すいませんすごい鈍くて」と答えておきました。


　クライアントは、横柄な雰囲気は微塵もなく、とても人柄がよい感じ。おじぎ草のように、誰に対してもペコペコしてるので背骨が曲がらないか心配になるほどです。

　Ａさんもとても感じがよい人で、愛想よくいつもペコペコしてるので、仕事の内容より、２人が何回おじぎをしているのか…ということの方が気になります。

　で。
　クライアントから「僕は趣味がない」という話を打ち明けられました。

　

　……。って言われても。
　なんて答えればいいんですか。

「あの、趣味がないと思ってらっしゃるかもしれませんが、そう思ってるだけで実はなんでも趣味になるもんですよ。読書だって趣味のひとつですし」

　と無難に答えておきました。

　すると
「僕、読書大嫌いなんです！活字が本当に嫌いで嫌いで…。あ、映画も１０年に１本も観ないんです。やっぱり趣味ないんですよ…」と言われ、ドツボにはまりました。

　もう！！！！！！！
　わたしはすごい眠かったのでイライラしてきたのですが、でもクライアントです。趣味がなくたってクライアントです。
お金を出してもらう人です。
最後まで愛想よくしなくてはいけないのです。


　そこで
「なんでもいいんですって☆趣味とは言わなくても好きなことないんですか。なんでもいいんですよ☆」とやさしく言ったら

「……。旅行ですかね。国内外問わず出かけます」と言うので


「立派な趣味じゃないですか！！！！！！」とさも素晴らしい大発見をしたように大げさに答え、
「旅先で写真を撮ったりしますよね」と付け加えると


「いや…。撮らないんです…。自分では撮ったことない…。やっぱり旅行も趣味とは言いませんよねえ」とのこと。


　……。
そうだよ、お前は無趣味だ！そんなこと知ったこっちゃないよ！！！！！！！！！



　と思いましたが、

「海外行くとき、成田空港まで行きますよね？　成田まで行くって相当気合い入れないと行かれないものなんです。これは本当です。自発的に行動を起こしてるんですから、趣味ですよ！！！！！！！」

　と強引にクライアントの趣味＝旅行と結論づけ、話を切り上げました。

　まだ30代なのに、すでに定年退職後の老後をひどく心配し、趣味がないからどうしよう…としきりに言ってました。

　疲れるのう…。

今日のしあわせ

幸せを呼ぶ四葉のクローバー栽培キット6個セット 3,465円（税込）。｢誠実｣ 「愛｣ 「健康｣ 「富」の願いが込められ、4枚揃って「真実の愛」を示す四つ葉。贈り物にもぴったり ★SHOPへGO！★