最近はゴミの分別が進み,駅に置かれたゴミ箱も,雑誌・新聞や缶・ペットボトル等はきちんと分けられていることが多い。そうしたゴミ箱から,雑誌や新聞を抜き取って読むサラリーマンの姿も決して珍しくはないが,一方で,これらをたくさん集めて売り,日々の暮らしのための現金を得ようとするホームレスと呼ばれる人たちも目立つようになってきた。
冷たい風が吹き,都内でもかなりの雪が降った夜,仕事帰りに地下鉄の駅で出合ったのも,全身黒ずくめのスナフキンといった出で立ちの,そんなホームレスの一人だった。
服装とコーディネイトしたかのような真っ黒なキャリーケースをゴミ箱の脇に引き寄せたのを目の端で捉えて,ああまたか,と深く気に留めることもなく,その後ろを通過しようとしたとき,彼の右手が,キャリーケースの引き手の辺りから,細長く銀色に光るものを真上に向かって抜き出すのが目に入り,思わずドキリとした。 彼が手にしていたのは長さが6,70センチもありそうな,細長いU字型のゴミ挟みだった。彼は,それを器用に操りながら,細長い投入口から,きっとその日の夕食に代わるであろう新聞や雑誌を次々に取り出し,キャリーケースの上に積み上げ,ひもで括って何事もなかったかのように立ち去っていった。
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最終更新日
2009年03月06日 01時02分48秒
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