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飯島あきら

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2010年04月14日
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カテゴリ:読書

ミツコと七人の子供たち

【内容情報】(「BOOK」データベースより)
黒い瞳の伯爵夫人と呼ばれた日本人女性、クーデンホーフ光子の生涯を克明に追い、東京の町娘が伯爵家に嫁いだ事情、落日のハプスブルク家でジャポニスムの象徴となったその人となり、両次大戦の荒波に翻弄されながらも「パン・ヨーロッパの母」と称えられた数奇な生涯を豊富な写真とともに追う。
【目次】(「BOOK」データベースより)
湯河原にゆかりの人を訪ねて/ヴェールに包まれた光子の生い立ち/結婚の秘密/恋に落ちた伯爵/クーデンホーフ家とは/外交官の妻になる/祖国を離れて/ボヘミアの伯爵夫人/子供たちとの距離/ある日突然、未亡人に/ウィーンでの新しい生活/ハプスブルク帝国の崩壊/病気、孤独、そして望郷/運命にもてあそばれる子供たち
【著者情報】(「BOOK」データベースより)
シュミット村木眞寿美(シュミットムラキマスミ)
1942年東京都生まれ。早稲田大学大学院修了後、ストックホルム大学に留学。69年よりミュンヘンに在住して執筆活動を行う(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

しばらく前に購入して積まれたままになっていた本書を読み終わりました。
ミツコ・クーデンホーフの生涯については、ドラマになったり、映画になったり、舞台になったり、彼女をモチーフとした小説が書かれたりしていますが、どのような人生を送ったのかというのは詳しく知りませんでした。
松本清張さんが書かれた「暗い血の旋舞」を買ってあるのですが、まだ最後まで読んでいなかったので(本書の中でも言われてますが、光子がずいぶんと意地悪に書かれているので、途中でおもしろくなくなったんですね・・多分)、今回最後まで読んでみてイメージと違ったなと思いました。

ちなみに、「暗い血の旋舞」の内容は、以下のとおりのようです。
【BOOKデータベースより】
明治中期ボヘミアの伯爵に嫁ぎ、ウィーン社交界に華やかに舞った東洋の花“クーデンホーフ・カレルギー・ミツコ”…その足跡を訪ね実像を求めて、杉田省吉は中欧へと旅立った。時代は暗い血に彩られたハプスブルク帝国の終末期。光子の後半生と激しく旋舞する世界の動きに、何らかの接点はなかったのか。複合多民族国家に生きたひとりの日本人女性の影に映ろふ時代相を、壮大なスケールで描破した、巨匠畢生のドキュメンタリー小説。

シュミット村木さんは、「クーデンホーフ光子の手記」という本も出されているようなんですが、絶版のようです。古本屋で探してみようと思います。ちなみに内容は、以下のとおりのようです。
【内容情報】(「BOOK」データベースより)
日清・日露戦争、第一次世界大戦。世界の激動期をヨーロッパで生き抜いた明治の花嫁が万感の思いをこめて綴った感動の手記。果敢な人生の記録。異国へ嫁いだ明治女性の生。
【目次】(「BOOK」データベースより)
1章 さよなら東京―東京~ハイデラーバード(故郷にお別れ/香港でまず手紙を ほか)/2章 パパの思い出(函館経由で「エゾ島」旅行/私の母 ほか)/3章 ヨーロッパへ―アデン~ロンスペルク(ボンベイからアデンへ/パパの叔母さん ほか)

「ミツコと七人の子供たち」の中にもミツコが残した手記から書かれているるようなのですが、全て書かれている訳ではないので、ぜひこの手記を読んでみたいです。ただ、本書を読んでのミツコに対する感想としては明治の女性で外国に住んでいただけ?というような感じを受けたので(クリスチャンに改宗はしてましたけど)、特別に進歩的な考えを持った女性という訳ではなかったようです。


天涯の船(上巻)

【内容情報】(「BOOK」データベースより)
日本が近代化への道を急いでいた明治17年。下働きの少女ミサオは、米国への留学船で、姫君の身代わりに仕立てられていた。船酔いと折檻まがいのしつけの日々。が、ある夜ミサオは、運命の人・光次郎に出会う。上陸後、美しく成長したミサオは、青年光次郎と再会するが、皮肉にもオーストリアの子爵家の血を引くマックスに求婚され、二度と日本に戻らぬ決意で欧州へ嫁いで行く。


天涯の船(下巻)

【内容情報】(「BOOK」データベースより)
実業家として成功した光次郎は、造船業でも名をあげ、片やミサオは、戦時下のヨーロッパで子爵夫人の地位を守る。時を経て二人は再び出会い、光次郎はミサオの導きで精力的に絵画収集に乗り出す。夢を追いかける男、苦難を乗り越えた女。いまなお胸に秘め続ける、互いへの想いが遂げられる日は来るのか。二つの大戦のはざま、時代の波に翻弄されながらも、希望を失わなかった愛の絆。

【著者情報】(「BOOK」データベースより)
玉岡かおる(タマオカカオル)
1956(昭和31)年、兵庫県生れ。神戸女学院大学文学部卒。’87年、『夢食い魚のブルー・グッドバイ』で神戸文学賞を受賞し、作家デビュー(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

↑こちらは、ミツコをモデルにして書かれた小説ということです。確か、私も読みまして、ブログにも感想を書いたような気がします。おもしろくって一気読みしてしまいました。
主人公の結ばれなかった恋人は、松方正義をモデルにしてもいるそうです。ミツコには、そういう人はいなかったようですね。
旦那さんが亡くなった後で好きになった人はいたようですが、逆プロポーズしたところ、子供が七人いることで断られてしまったとのこと。31歳で寡婦となってしばらくしてからの話で、その後は諦めてしまいそのような話はなかったようです(日本人には求婚されたりしていたみたいですが)。

ミツコの次男で、ヨーロッパ共同体の提唱者でもあるリヒャルトは、美男でミツコのお気に入りだったそうです。彼が自分とそう歳の変わらない女優と結婚してしまってからは、まったく無視していたようですが・・
確かに、写真を見るとオトコマエです。

当時の写真が何枚か掲載されていますが、ミツコが上品そうな日本美人であったことが伺えます。ドレス姿も似合っていますので、異国では人目を惹いたのだろうと思います。実際のところは、社交界の花とまでは言えなかったようですけど。
そのようなヨーロッパ的教育を日本では受けていないですし、18歳で結婚した後に学ぶと言っても、それまでの人生経験でミツコという人間の本質はできあがっていたと思われますので、変わるのは難しかったと思います。
本書を読むと根性はあったようですから、日本人的な考えでいても異国で過ごすのに何とかなっていたのだと思われます。

随分と長文になってしまいましたが、一読の価値ある本だったと思います。





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最終更新日  2010年04月14日 22時51分53秒
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