テーマ:DVD映画鑑賞(14194)
カテゴリ:日本映画
なかなかすごい映画でした。 結局男なんて女を欲望の対象としか思ってないのよねえっと、まあ、そういう感想で終わらせてもいいっちゃいいんだけどね。 男性の欲望を満たすための玩具としての空気人形。その人形がある日、心を持ってしまう。主である男のいない間に人形は外に飛び出し、いろんなことを経験し見聞きし、ひととかかわりっていく。 はじめは女もできないしょうがない男だから、人形を相手に暮らしている寂しい男なんだと思っていた。けれど、話を見ていくうちにどうやら結婚して子供もいながら、妻や子供や家族と関わることの煩わしさがいやでわかれてしまって、そして、ひとりで暮らしいているらしい。 心も意志もなく、自分の好き勝手にできる人形のほうがいいらしい。 そして、主人公(人形だけどね)が知りあう優しい男性順一もまた、人形の体の中を自分の息で満たそうとする。それは、彼女自身は望まないことかもしれないのに。 優しそうな彼もまた、やっぱり彼女を支配しようとする。 人は人を支配するのが好きなのか。自分のいいなりになる相手が欲しいだけなのだろうか。男が女を支配する。そのまた逆に夫を支配する妻もまたいるものだし、女の集団というものは、ボスとそれに素直に従う手下のような女性たちによって出来上がっているものだし。そんな集団はボスに逆らった途端に弾かれる。素直に従っている間はとっても楽なんだろうけれどね。 人形が心を持ったことにきづいたとたんに男はあたらしい心をもたない人形をまた、買ってきてしまう。 「そんなのはいやなんだ。わずらわしいんだよ。」 自分の意のままになる相手がほしいだけ。そんな彼もまた、職場では人に支配され、言うがままに動くしかない。 他人の意志のままに生きていればそれはとても楽なことだけれど、でも、人間は心と意志をもっているものだし。 心を持った主人公の人形は、男のもとを出ていくしかなくなる。順一のもとにやってきたけれど、順一もまた、彼女を支配しようとする。彼に支配されるのと同じように、彼女もまた、彼を支配しようとしたとき、順一もまた人形になってしまうとも言える。順一も自分と同じ空気人形だと、誤解した彼女は、順一の体を傷つけて、空気を抜いて、彼が彼女にしたように、彼の中にも自分の息を入れようとする。でも、順一は人間だから、さされて血を流し、死んでしまう。 人を支配することなんて、所詮できない。 そして、他人に支配されることをきらい、自分の心と意志とを持ったとき、人は、(人形もね)孤独と向きあわなければならなくなる。 「つらいことだけじゃなくて、いいことも、ありましたか。綺麗なものを見ることはできましたか。」 彼女を作った人形師が聞く。 「ええ、すこしだけ。」 孤独の寂しさも、辛さも、それでもなお、生きていくことも。 支配されることも、支配する事もなく、心をもって生きていることの中で、美しくて、素敵なものに出会えたのならば、それはそれで、人形にとっても、人にとっても、いきたかいも、生まれたかいも、あったかもしれない。 人形役のペ・ドゥナさんの演技がなんとも、絶妙で、人形からだんだん心と意志をもった存在へと変わっていくその変化をとてもこまやかにかわいらしく、演じてくれていて、彼女の演技あってこその映画だなあと、思いました。かわいかったです。そして、こんなにかわいいのに、こんな壮絶な役どころを無理なく演じていて、感服しちゃいました。 ・空気人形@ぴあ映画生活 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2010年05月27日 20時43分00秒
コメント(0) | コメントを書く
[日本映画] カテゴリの最新記事
|
|