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カテゴリ:不妊・出産・養子
50代後半の母親が、娘の子ども(自分にとっては孫)を代理出産というニュースに驚きました。しかも、今朝の新聞によれば、母親はすでに閉経していて、女性ホルモンを投与して妊娠したんだそうです。母は強し。しかし、こういう場合、夫の母ではなく、妻の母なんだなぁ。
個人的には、代理出産も不妊治療もやりすぎはいけないよね、と思います。当事者じゃないから言えることかもしれませんが。母親が命の危険を冒してまで娘の子どもを産んであげるというのは、親子愛としてとても美しいとは思いますが、それはちょっと行き過ぎでは…と。しかし、一方で、今回の出産を手がけた医師が言うように、姉妹間での代理出産よりも親子愛に基づく代理出産のほうが関係がこじれないというのも分かる気はします。 ちょうど、養子縁組に関する本を読んだ直後だったので、余計にこの問題について考えてしまいました。不妊に関するサイトに比べて、養子に関するサイトが少ないと思うのは私の気のせいでしょうか。 先日読んだ「赤ちゃんの値段」というノンフィクションは国際養子縁組の問題を大きく取り上げていましたが、今回読んだ「その子を、ください。」という本は、ボランティアで特別養子縁組の仲を取り持つ産婦人科医師が書いた本です。 養子縁組には二種類あるって知ってましたか? 私はこの二冊の本を読むまで知りませんでした。普通養子縁組というのは、養親が養子よりも年上であればいくつでもいいのだそうです。戸籍上も、実親の籍にも養親の籍にも記載されて、養親のほうの戸籍には「養女」などとかかれるので養子であることが容易にわかります。そのかわり、実親の遺産相続などにもかかわれるみたいです。子どもにとっては二組の親がいることになります。 特別養子縁組というのは、6歳未満の子どもが対象。実親がなんらかの事情で子どもを育てられない場合に適用されるようです。経済的な事情とか、虐待などで子どもに不利益が被ると裁判所が判断すれば実親の戸籍からは完全に抜けて、養親の戸籍には「長女」などと記載されます。裁判所の手続きの記載があるようですが、戸籍を見ただけでは養子であるとはわかりにくいようです。実親との関係は完全に絶たれるので相続などにはかかわれません。なので、実親に問題がない場合は子どもにとって不利益になることもあるようです。 不妊治療の果てに実子を授からず養子を迎えたいと思っている夫婦は多いのではないでしょうか。この本にも不妊治療のつらさを切々と訴える女性が出てきます。 一方で、十代での妊娠や、望まない妊娠をする女性たちがいます。なかには結婚詐欺に遭った相手の子どもを妊娠したというケースも。十代での妊娠の場合は親に言えないでいるうちに中絶できる時期を過ぎてしまうことも多いらしいです。大人の場合、中絶する人も多いと言います。産んで育てるか、中絶するかという二択ではなく、産んで養子に出すという選択肢もあっていいはず。 私が知らなかったことがもう一つ。産んだ子どもをなんらかの理由で手放す場合に、児童相談所などに預けると、二歳までは養子や里子に出されず乳児院で育てられるらしいです。このあたりのことは詳しくはあまりよくわかりません。認識不足があって、間違ってるかもしれません。 ともかく、養子が欲しいと思って児童相談所に相談したら、二歳未満の子どもはダメですと言われるらしいです。 赤ちゃんを迎えて育てたいと思っている夫婦としては釈然としませんよね。ボランティアとか慈善で里子や養子を引き取りたいと思っている人だったら、年齢なんて関係ないと割り切れるのかもしれませんが、たぶん、“どうしても自分たちの子どもが欲しい"というのはそういうのとはちょっと次元が違うと思うのです。 他人の子であっても自分が産んだ子として育てたい。それは実親の手を離れた可哀想な子どもを救いたいというよりも、その子によって自分たちが親として成長したい、救われたいという気持ちが強いのではないでしょうか。 私が当事者だったら、やはりできるだけ小さいうちから自分の手で育てたいと思うと思います。それはエゴと言われるかもしれないけれど、逆に自分の産んだ子どもを二歳まで他人に預ける親がいたらちょっとどうかなと思いますよね。それくらいの時期って子どもにとっても親にとっても愛情をはぐくむ大事な時期だと思いますし。 そんなわけで、この本の著者は実親と養親とを直接橋渡ししています。双方が顔を合わせることはないはずですが、当事者の話をよく聞き、何度も確認をしてお互いにとって最良と思える相手を選んでいるようです。将来、養子となった子どもが自分のもとに訪ねてきて実の親はどんな人だったのか訊かれる日が必ず来る、と思い、手紙や資料はすべてとってあるそうです。 養親となった人たちは一様に「産んでくれてありがとう」と実母に感謝しています。それくらい待ち望んだ赤ちゃんだったということです。子どもたちは愛情いっぱいに育てられています。 養親が悩むのは子どもへの告知の問題。告知するかどうか、するとしたらいつがいいのか。これは親子の問題なので、それぞれで答えを出すしかないのでしょう。それとは別に、親戚やご近所への告知も悩みの種のようです。海外の友人に言ったらすんなりと「おめでとう」と言ってくれたのに、日本では一瞬とまどわれるという話も。 確かに、友人から突然「養子をもらったの」と言われたらとまどうかも。でも、実の子どもとして迎えたのだったら、素直に「おめでとう」と言ってあげるのが一番だと思いました。出産祝いなんかも贈ってあげてね。そういう風に素直に養子を受け入れられる社会になれば、子どもを産まなきゃというプレッシャーも少しは軽減されるのだろうなと思ったのでした。 どうしても自分で産みたい、どうしても自分の遺伝子を受け継ぐ子どもが欲しいと思う人がいるのはわかります。不妊治療や代理出産も選択肢としてあっていいと思います(個人的には代理出産はちょっとどうかと思いますけど)。そして、そこにもう一つ、養子という選択肢もあります。その選択肢がもっと一般的になるといいと思いました。そのためには、生後間もない赤ちゃんの養子縁組がボランティアを通してしかできないというような現状はあまりよくないのではないでしょうか。もっと、公的機関を通してきちんとやってもらいたいものです。 私の少ない知識で書いた文章。間違いもあるかと思います。でもね。こういうことが正しく認識されてなかったり、一般の人があまり知らなかったりすることが問題のような気がします。中絶が減って、子どもが欲しいのにできない夫婦が幸せになれるのだから、メリットは多いはず。もう少し、このことがいろんなところで大きくとりあげられるといいのにな。 それにしても。不妊治療といい、望まない妊娠といい、つらい思いをするのはみんな女性側なのね。不妊の場合は旦那さんの励ましがあるだろうけど、望まない妊娠の場合、男は逃げようと思えば逃げられちゃう。中学生同士の妊娠なんて言ったって、男のほうには戸籍に傷もつかない。なんか不公平だなぁとつくづく思ったのでした。でも考えようによっては、子どもを産む喜びは男の人には想像もつかないのだから、産んだ人は胸を張っていいかも。 その子を、ください。 ↑産んだ子どもを育てられない母。欲しくても子どもが出来ない夫婦。養子縁組は決していい面だけではないけれど、こういう選択肢があってもいいと思います。 赤ちゃんの値段 ↑養子として外国人夫婦にもらわれていく日本の子どもたち。その実態を把握していない日本のお役所。さまざまな問題提起をしています。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
Oct 16, 2006 05:42:35 PM
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