カテゴリ:社会システムについて
出演者:子守唄の里・五木を育む清流川辺川を守る県民の会 寺 嶋 悠(てらしま・ゆう)さん NGO「債務と貧困を考えるジュビリー九州」 いのうえ しんぢ さん テーマ:「ダムとプルサーマルと市民アクション」 ◆ゲスト紹介 寺嶋悠(てらしま・ゆう)さん 普段は会社員をするかたわら、国際協力NGO「チェルノブイリ医療支援ネットワーク」、子守唄の里・五木を育む清流川辺川を守る県民の会、アジア開発銀行福岡NGOフォーラムなどのNGOで活動している。 いのうえしんぢ さん イラストレーター、NGO「債務と貧困を考えるジュビリー九州」や玄海原発のプルサーマル計画について考える「みらい実行委員会」などで活動している。 前半:寺嶋さんのお話 ダム問題に関わるようになったのは、2001年に川辺川に行ったのがきっかけ、どうしてダムが問題なのか知りたいと思いました。 地元の漁師さんのお話を聞いて心を揺さぶるものがありました。 川辺川ダムの現状は、ダムは中止をする方向で、法律の手続き等が進もうとしているところです。 このように長引いて止まる公共事業は前例が無いので、どういうふうにうまく終わらせるかというところが注目されています。 新しい法律を作ったり、地元の合意を取るような手続きが進んでいます。 川辺川は日本三大急流の一つで五木、五家荘から人吉を通って八代海、不知火海に注ぐ九州でも三番目に大きい川で、きれいな流れとおいしい鮎、米焼酎で有名な川です。 球磨川下りやラフティングで人気の球磨川の一番大きい支流になります。 川辺川のダムは最初は治水、農業用水、発電用にということでしたが、現状の計画は洪水防止のダムということになってます。 「森は海の恋人」という言葉がありますが、川も上流から下流までつながってはじめて一つの生態系といえます。 それを堰き止めてしまうと上流から栄養のある砂や土が下流に流れなくなってしまいます。 例えば上流でダムを作ることによって、八代の干潟がどんどんなくなってしまって、貝やシャコなど海がやせていってしまったり。 人工的に100mくらいのコンクリートで堰き止めるので、鮎が激減してしまったり、希少動物などといった生態系に影響を与えたり。 なにより流域とダムができるところに住んでいる人の生活を完全に変えてしまうという大きな問題を抱えています。 川辺川に関してはダムがなくても大丈夫だというのが専門家の意見で、国交省もダムによらない治水を考え始めました。 逆にダムだけに頼ってしまうと、予想以上の大雨が降った時に洪水が起きてしまう例もあります。 昔ながらの治水に戻そうというのが、流域の方たちの新しい意見になってきています。 昔の治水というのは、例えば昔は大雨が降ったらそろそろ畳を上げようかとか、荷物を二階に上げようかなど、川沿いの人たちは川と共に暮らしてきた。 それが現在では川の水はコントロールしなければいけないもの、コントロールできるものなのだという考え方に変わり、ダムやコンクリートの護岸ができたりしています。 今見直されているのが、コンクリートの護岸ではなく、昔ながらの石や木を植えることで流れをゆるくする。 そちらのほうが川の流れと川に棲んでいる生物への影響も少ないということがわかってきてます。 またダムを作るかわりに川幅を広げることで洪水を防いだり。 大雨の時は堤防のある個所をわざと切れるようにして市街地を守り、森や林に水をあふれさせるという治水対策もあります。 これまでにあった伝統的な知恵を見直そう。 それによって川はもっと自然な形でわたしたちの暮らしと共にあり続けることができるのではないでしょうか。 球磨川の下流にある発電用の荒瀬ダムは前知事の時に撤去が決まっていました。 荒瀬ダムがあることで、鮎が獲れなくなって漁師さんが激減したり、ヘドロがダムに貯まってひどい臭いがするとか、大雨の時の放流の震動で付近の民家の窓ガラスが割れたり、壁にひびが入ったりしています。 ところが新しい知事になって撤去するお金がもったいないとダムを残すことになってしまいました。 地元市民は撤去して元の川に戻してほしいと署名活動や集会など運動をしています。 群馬県の八ッ場ダムなども中止になりそうなダムということで有名ですが、逆に古いダム計画が巻き返しで進められようとしているものがあります。 近くでは小石原川ダム、佐賀の城原川ダム、小豆島の新内海ダム、長崎の石木ダムなど地元の反対運動や効果に対する疑問の声がある中強引に進められようとしています。 全てのダムが不必要だとは思いませんが、それによって失われるものは何か、得られる効果はどのくらいなのか、地元の合意は得られているのかなど、見直さないといけない点はあると思います。 問題になっているダムは、インターネットで調べることができますし、インターネット署名や視察ツアーなどもありますので、ぜひ関心を持ってほしいと思います。 わたしが関わっているもう一つの「チェルノブイリ医療支援ネットワーク」は、1986年の旧ソ連のチェルノブイリ原発事故の放射能被爆者の医療支援を行っている古賀市にあるNGOです。 チェルノブイリ事故では600万人が被災して、事故後23年経ってますが、子どもの頃に被爆した人たちの間で甲状腺がんや白血病などが起きています。 ◆後半:いのうえしんぢさんのお話 僕は2001年の911テロがきっかけで社会運動、NGO活動に関わるようになりました。 みらい実行委員会では、佐賀の玄海原発で始まろうとしているプサーマル発電は、いろんな面で問題があるのでちょっと待ったという活動をしています。 原子力発電は原子力爆弾を作った時に出た副産物。 長崎に落とされた原発はプルトニウムが使われていたのですが、プルサーマル発電はそのプルトニウムも入れたMOX燃料を使います。 これは例えると灯油ストーブにガソリンを入れるようなもので大変危険です。 ウラン燃料用に作られた原発に燃えやすいMOX燃料を使おうとしています。 みらい実行委員会ではこれまでロビイングといって議会での訴えかけや署名運動をしてきました。 また市民に対してプルサーマル発電について知ってもらうためのキャンペーン活動などをしています。 電力会社や国にプルサーマル発電の安全性について聞くんですが、数字などを明らかにして下さいと質問書を出しても、企業秘密なので教えられませんという答えばかりです。 隠すほうがおかしいじゃない? プルサーマル発電は、フランス、イギリス、アメリカでも行われてますが、日本のプルサーマル発電は世界でも類のない高濃度、高出力のものをぶっつけ本番でやろうとしています。 プルサーマル発電は他の電力会社では失敗してへんなバトンが玄海原発にまわってきてしまいました。 今まで東京電力などでも計画があったのですが、燃料に不良品があったりとかで止まっています。 世界的にもやったことがないレベルでの発電なので何が起こるかわからない状況です。 もし佐賀で事故がおきれば、人口の多い福岡が最大の被害を受けるでしょう。 原発はCO2を出さないクリーンな発電方法だとよく言われます。 原発の施設内で発電するという部分だけみればそうかもしれませんが、燃料のウランは他の国でウラン鉱脈を掘って精製してという長い旅を経て日本にやって来ます。 その過程で石油などの燃料を大量に使っています。 なのでトータルでいうとものすごいCO2を出しています。 特にプルサーマル発電で心配なのがごみ問題です。 使用済みのMOX燃料は、埋めるために動かそうにも熱すぎて動かせません。 冷えるまでに100年~500年かかると言われています。 100年後は僕らもいないし、電力会社も続いているかわからない。 そんなめちゃめちゃな計画を進めていいのかという声があります。 10月18日に福岡市でプルサーマルの大きなイベントをしました。 講演会、ワークショップ、楽器作り、ドリームキャチャー作りなどがあり、最後に市内をパレードしました。 タイトルが「プルサーマルよりカーニバル」って言うんですけど、反対、反対というより新しい未来をつくっていきたいという思いがあります。 議会への訴えかけや署名運動といった効果のありそうなことは全部やったつもりなんですけど、いい形では返ってきてません。 現在やっているのは、電力会社前で11月5日からテントを立てて座り込みをして、この計画は危ないんじゃないかと訴えています。 (注:テント村は11月12日に撤収されました。現在は有志が電力会社前でアピール行動をしています) ブログ「プルサーマルよりカーニバル」 http://carnivals.blog93.fc2.com/ たまにそんなこと言うなら電気を使わずに生活しろと言われるんですが、ぶっちゃけ原発がなくても、火力、水力や自然エネルギー発電でまかなえるんです。 2003年夏に東京電力が持っている原発17基が事故で止まったんですが、東京は停電になりませんでした。 いのうえさんからのメッセージ 黙っていたら何もわからない。 表現しないとわからない。 反対にしろ賛成にしろ意思表示していったほうがいいと思います。 寺嶋さんからのメッセージ 一歩足を踏み出した人は二歩目が出しやすい 重心が前に移っているので第二、第三歩が出しやすい。 身近なところから関心を持ってほしい。 寺嶋さんからのお知らせ 川辺川を守る県民の会 http://kawabegawa.jp/ 川のシンポジウム2009 変わる公共事業・変える公共事業~九州各地のダム事業から ~ 2009年12月12日(土)13:00~17:00 会場 アーバン・オフィス天神 福岡市中央区天神一丁目天神121ビル13F 主催 川のシンポジウム2009実行委員会 参加費 500円 問い合わせ先 川のシンポジウム2009実行委員会・事務局 松原 TEL&FAX 092-332-3860(夜間は20:00 までにお願いします) チェルノブイリ医療支援ネットワーク http://www.cher9.to/ ベラルーシ料理を作って食べよう! 2009年12月12日(土)12:00-15:00 場所 古賀市中央公民館 研修棟1F調理室 106 参加費 1000円 (コーディネーター 常冨泰弘) お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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