「賞金を懸けて鬼ごっこ」、
逃走中が小説になった。
現在、9巻まで発売されている。
全巻読んでいることだし、何か書いてみよう。
|・w)っ[ゲームのルール]
大枠は実際の逃走中と変わりない。
全ての回で共通して、
参加者10人、ゲーム時間60分だ。
固定メンバーがいる点も含め、ジャンプやクロノス時代のゲーム規模に近い。
逃走者にはタブレットが支給され、マップの確認やメールの受信、他の逃走者との電話などができる。
また小説版の独自要素として、
クッキーやチョコレートなどが1人1個配られる。
食べるとすぐ体力が回復する、クロノス社の時代の食品技術で作られた食べ物だ。
オープニングゲームは一部の回のみ。
3巻では、実際の逃走中で2009~10年頃に使われたのと同じロシアンルーレットが用意された。
ほぼ必ず誰かが開幕で確保されるのが、特徴でありネックでもある。
そのため、後に導入されたサイコロ式や体内時計式は全員が安全にゲーム開始を迎えられる可能性が用意されている。
|・w)っ[逃走者について]
陽人、玲、凛の3人は固定メンバーだ。
全巻を通して3人とも好成績だが、それにふさわしい実力者揃い。
3人とも、実際のゲームで何度も呼ばれるようなミッション積極派にあたる。
ハンター追加ミッションなど、やらないと不利になる物なら原則として必ず行く。
サッカー部仲間の陽人と玲は、逃走中でもほぼ常に一緒に行動する。
そのため「他の逃走者のカードキーでアラームを解除せよ」などのミッションは彼らには無意味と化す。
陽人の特技は、マップを覚えること。
記憶力を活かし、ハンターの位置を可能な限り把握しつつ移動するのが基本戦術だ。
実際のゲームではある時期から廃止されたが、
小説では誰かが確保された時の通知に確保地点が含まれる。
ハンターの居所をつかむ有力な情報だ。
サッカー部でも参謀を務める玲は、逃走中でもその作戦力を存分に活かす。
開始時のハンターの出現ポイント、ミッションの文面の細かい部分など、細部も見逃さず戦略に活用する。
陽人や玲は「成功すれば有利だがリスクもある」系のミッションにはあまり手を出さない。
でないと他の逃走者の出番を奪いすぎるからという配慮もありそうだが。
一方、凛は面白そうな仕掛けならほぼ何でも行く。
ダイスで網鉄砲を当てる幸運を見せることもあれば、高所恐怖症なのにジェットコースターに乗る抜けた面も。
そして、この小説で誰よりも逃走中を楽しんでいるのが凛だ。
他の7人はゲスト枠で、基本的に毎回入れ替わる。
たまに経験者が呼ばれることもあるが。
多くが6年生、何人かが5年生だ。4年以下はあまりいない。
ミッション積極派もいれば、ひたすら潜伏するのみの逃走者、
そしてゲームをかき回すばかりのトラブルメーカーなど、様々なタイプがいるのは実際のゲームと同じ。
ゲスト同士、あるいはゲストと主役組の関わり合いは小説の見どころのひとつ。
|・w)っ[マップについて]
大半は、実際のゲームで使われたマップから選ばれる。
渋谷や横浜中華街に始まり、富士急ハイランドに吉野ヶ里歴史公園など。
同地で行われた回を由来にしたミッションやイベントも多い。
これも実際のゲームと同様、ミッションや通達によりエリアが拡大・縮小することもある。
|・w)っ[1巻(渋谷)の感想]
初回は実際の逃走中が初めて行われた、渋谷で行われる。
Blackは昔の逃走中は見ていないのだが、
木に登ってハンターを回避しようとした人も実際にいたらしい。
ハンターの俊足に驚くのは、逃走者も視聴者も誰もが通る道。
陽人と凛は小学生としては上限に近いほど速く、玲も平均か中の上くらいの脚力はあるので
遠距離からであれば見つかっても逃げられたりするのだが。
そして最初に確保された者は、
毎回異なる演出でゲームから退場する。
読む側としては楽しみだが、逃走者から見ればホラーでしかない。
ゲーム自体もシンプルだが、逃走中の基本は抑えている。
隠れているだけでは勝てない。動かないと強制失格のミッションが早くも登場する。
近年はあまり見なくなったが、初期では定番だった
ハンターヘリも。
以降も含め、ゲームの舞台はゲームマスターの月村が用意した仮想空間という設定だ。
子供向けの逃走中を作りたくなり、21世紀の地球で参加者を募集してテストゲームを行う、という名目で
この小説版の逃走中が行われている。
|・w)っ[今後の予想]
実際の逃走中にあって、小説ではまだ使われていないネタというと
まずは「沈黙の巨大迷宮」などで使われた
ペアルール。
ゲーム序盤で、他の逃走者とペアを組むことができる。
どちらかが逃走成功か自首かで賞金を獲得すれば、相棒にも同額が入る。
ただし、ペアを組んだ者だけ対象となるミッションが発生するのが恒例。
この逃走中小説もいずれは終わるのだろうが、もし実際のゲームをモデルに完結編を書くのなら
元ネタはおそらく「ラストミッション」だろう。
短く言えば「ハンターX計画クライマックス! ゲームの崩壊を食い止めろ」という回だ。
裏切り者疑惑、冷凍銃、阻止できない大量ハンターなど、イベント満載で非常に盛り上がるゲームだった。
2巻以降も感想を書きたいが、長くなるので一度区切ろう。
First updated 2023.10.26 08:35:07