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カテゴリ:BOOK
前回の『菜の花の沖』では、江戸時代の北海道気分を満喫しましたが、
その後手にした本がこれ。 『わたしの名は紅(あか)』 先日ノーベル文学賞を受賞したオルハン・パムク氏の著作です。 実は数年前に買ったままで「積ん読」状態だったのを、 今回ようやく引っ張り出して読み始めました。 なんでまた、ノーベル文学賞を受賞するような本を買っていたかというと・・・。 物語の舞台は、1591年オスマントルコ帝国の都イスタンブール。 スルタンの命により、最高級の腕をもった職人が集められ秘密裏に制作される細密画。 それに携わった細密画の名人の1人が殺されるところから始まります。 時代設定にもグッと来ますが、何よりここ近年ミニアチュール(細密画)に惹かれている私にとっては、 何よりの舞台設定。 読み進めていくと、細密画家たちの芸術感と宗教感との分かちがたい結びつき、 あの極彩色で描かれたミニアチュールの制作の裏にある、 気の遠くなるような制作過程など、切なさと同時にため息が出てしまいました。 もちろん、細密画をめぐっての犯人捜しなど飽きずに読み進めることができますが、 やっぱり「失われてゆく切ない宝石(芸術)の輝き」 には胸がつまりました。 そして、ちなみにこの本、ハードカバーなので持ち歩くには非常に重かったのですが、 読み切るまでずっと私と一緒に「出歩いて」いました。 たまにハードカバーを読むと重いですね・・・。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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