大学のとき、中国語が専攻だったのですが、関心は普通話(標準語)よりも、むしろその周辺の言語にありました。でも当時はそんなに授業の種類がなかったので、中国にからむものでは普通話以外には台湾語とチベット語しかありませんでした。今日はそのうちチベット語の話を少々。
チベット語がどういう言語かといったことの前に、授業を受けた当時(21年前です)に印象に残っていることをいくつか。授業は大学4年のときにとりました。4月の開講時期には聴講していた学生は数十人はいましたが、最後(翌年2月)まで残ったのは5~6人くらいだったと思います。中国語専攻の学生よりは、ヒンディー語(インド)専攻の学生の方が多かったかもしれません。
チベット語を当時教えていたのはこの分野で日本人といえばこの人という女性の年配の教授でした(他にこんなマイナーな言語をずっと研究しているなど当時では皆無。今はダライラマが昔よりも注目されているので研究者も増え、ダライラマ東京事務所などがチベット語講座を開いているようですが)。このころは日本語で書かれたチベット語のテキストなんぞはありませんでしたので、教授が自分で作った手書きのものを使っていたと思います。その数年後この先生は初心者向けチベット語入門の本を出しています。興味深かったのは、確か何回目の授業からこの先生がチベット人を授業に連れてきたことです。見た目疲れたおじいちゃんのような人で、声もかすれがちで元気がない人のように見えましたが、恐らくインドに亡命中のチベット人のようでした。当時は中国さまそのものも完全に「秘境」の部類に入っていましたので、「チベット」などは秘境中の秘境だったこともあり、チベット人に日本で会えるというのはミーハー的ですが貴重な経験でした。ダライラマと一緒に亡命して来た人なんでしょうね。
チベット語という言語について小ネタ的に少し。通常中国語と合わせて「シナ・チベット語族」といったりしますが、中国語とはまるで違う言語です。むしろ日本語にとても近い印象を持っています。語順も主語・目的語・動詞で、助詞の「に」「で」などは日本語のように名詞のあとに来ますし、否定するときも語末に否定を意味する言葉をつけます。なぜ中国語と同じ仲間に分類されるのか、個人的には納得いきません。ヒンディー語などのインドの言語にはたぶん同じ特徴があるのかもしれません。
とはいうものの、中国語に近い特徴として、声調があるということがあります。ただ、連続して言葉が続く場合には日本語のような高低アクセント(「橋」と「箸」の違いです)になったりはしました。あと、チベット語は卒塔婆の裏に書く文字にも似ていますが(これはサンスクリット・梵字かと)、発音とつづりの乖離が激しく(確か7~8世紀ころのつづりをほとんどそのまま使っていたかと)、そう簡単に読んだり書いたりはできません。今のチベット人も、ちゃんと文字を書ける人がどのくらいいるのか少々疑問を持ちます。こんな文字です。
しかし、そういう超マイナーな言語も、ネットの時代になると上でリンクしたWikipediaにはチベット語バージョンもあり(項目は極少ですけど)、文字が簡単に見れたり、別のサイトではチベット文字に変換してくれるものもありました。すごいことになっているなと改めて思います。とはいうものの、大学で勉強してから当然のことながらチベット語を使う機会など全くありませんので、もうほとんど忘れてしまいました。年度末のテストを受けたときには一応チベット文字が書けたはずなんですけど・・・唯一覚えているのは次の一文です。
んが りぴんば いー (私は日本人です) (「んが」と「いー」は鼻にかかります)
「りぴん」は「日本」の中国語読み(Riben)から入ったようです。語順は日本語と同じなんです。チベットのじいさんがつぶやくように発音してくれたことを思い出します。
そんなことでマニアックな言語マニア第1弾でした。明日はたぶん道の駅になります・・・
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