カテゴリ:読書
:第1回『このミステリーがすごい!』大賞
:大賞金賞受賞作として、 :「描写力抜群、正統派の魅力」 :「新人離れしたうまさが光る!」 :「張り巡らされた伏線がラストで感動へと結実する」 :「ここ十年の新人賞ベスト1」 :と絶賛された感涙のベストセラーを待望の文庫化。 :脳に障害を負った少女と :ピアニストの道を閉ざされた青年が :山奥の診療所で遭遇する不思議な出来事を、 :最高の筆致で描く癒しと再生のファンタジー。 という本作。新刊で発売された時から少し気になっていて、 ブックオフで見つけて文庫化前に購入。 (なのに、読み終わったのは今日・・・) 「ミステリー大賞なのにミステリーじゃない」 なんて批判の声も多い本作。 確かにミステリーではないのでそのつもりで 購入すると騙されたと思ってしまうだろう。 私の場合、ファンタジーという印象で買ったので、 問題は無かったけれど、 正直あまり感動できず泣くなんて持っての外だった。 世間の評価としては、 嫌うか、大感動するかの真っ二つみたいだけれど、 個人的には良くも悪くもないという印象。 確かに本作でデビューというわりには、 筆力が安定していて、なかなかの表現力、 そして持って生まれた言葉のセンスも評価できる。 印象としては「石田衣良」のナチュラルな文体と、 お堅い文体が不自然にミックスされているような感じ。 この点は経験で自分のカラーを きちんと認識し生み出せるようになれると思う。 あと、男にしか書けない、 男の著者だからこそこうなったであろう表現も 多かった。 特に喋り捲る真理子のくだりなんて、 「これって男が描いた女だよな」 という匂いがぷんぷんする。 それが読む者によっては嫌悪感を与えかねない 要因にもなっていると思うので、 今後の作品でもう少し変わっていってくれたらなぁ と思うところ。 そして、肝心の奇蹟。 私自身、別にパクリ否定派ではないし、 それでも面白ければいいと思う方なのだけど、 やはり使い古されたエピソードだらけで、 読んでいて飽きてくるのも事実。 知的障害と道を閉ざされたピアニストって設定は 悪くないのにとても残念。 そして巧いのだけど、力入りすぎというか、 クライマックスにおいても堅さが抜けないせいで、 盛り上がるはずのシーンも 淡々としすぎていて序盤と流れが変わらず、 とても感情移入しにくい。 なんていうか読んでいて醒めてしまうような感じ。 せっかく筆力あるんだから、 もっとトーンを変えれるようになれば いいのに本当もったいない。 多分彼の作品は3作目以降であれば、 興味を持てるプロットなら また手に取ってみてもいいかなと 思うけれど、そうじゃなきゃもう読まないだろうな。 ただ、とてもドラマ向きの作品なので、 映像化したら見てみたいとは思う。 でも「秘密」とかぶりすぎてるから無理かぁ。 「秘密」よりはこっちの方が映像向きとは 思うし、よく書けてると思うのに、 どうして肯定できないのか、ちょっと不思議。 そんなわけで東野圭吾の「秘密」を読んだ人は、 多分読まない方がいいと思います。 4799円。 映像より原作のが良いです、断然。 そして、これだけけなしまくったけど、 ハリウッドの新鮮味のかけらもないベタな感動ドラマでも、 毎回感動できる人や、 殆ど読書をする習慣がないという人には、 オススメできます。 そんな人ならきっと素直に泣けること請け合い。 文庫登場。690円。 沢山の書評を見るならbk1 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2004.08.20 01:51:50
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