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2004.09.28
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カテゴリ:読書
このミス和書版1位の本書。
タイトルが秋の夜長の読書にはなんだかぴったりで、
いつか読まねばとは思いながらも、
その厚みになかなか手を出せずにいた本。

ぐいぐい読ませる筆力とアクの強さで、
時間を忘れて読ませてくれる。
冒頭だけを読んだ時点では主人公のキャラ設定や、
題材に少しばかり引いてしまったけれど、
それでも読まずにはいられない、という
久々に力を持った本だった。

多彩なエピソードを散りばめつつも、
しっかり集結させている手腕は感動すら覚える。

何を書いてもネタばれになってしまいそうなので、
内容はあまり触れれないけれど、
ミステリーとしても十二分に楽しめるし、
それだけでなくほろりとさせられるところも
しっかりあるので、
普段ミステリーを敬遠している人でも、
充分満足できるんじゃないかと思う。

終盤になればなるほど、伏線がきれいに
つながっていくさまも見事。

ただ「お、そうなるのか!」と驚かせてくれた直後に、
「一度は驚いたけどありきたりな気もするなぁ」と、
思ったのが減点の理由。
もうひとつ、とても巧みな筆力なのに、
時折、新堂冬樹のような幼稚さを感じた。
完璧なだけに、ちょっとの失点が鼻につくというか、
せっかく集中して読んでても気がそれてしまう。
そこも残念なところだった。

それでも読後感はとてもいい。
明日を生きる力が湧いてくるような、
清々しい気分になれるので、
落ち込んだ時、滅入ってる時、人生疲れた時、
または、「つまらん人生だよな」とマイナス思考な人なんかが
読むには打ってつけだろう。

久々に新刊で買って良かったと思うほどの
面白い本に出会った。
こういう手放しで褒められる本や映画に
出会うと毎度のことながら本当に気分がいい。
だから、つまらない本、つまらない映画に当たることの
方が多くても、それでも辞めれないのだろうけど。

でも面白い作品を読んだ後って、
次何を読むか、凄く困るのよね・・・。





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Last updated  2004.09.28 05:20:45
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