カテゴリ:読書
:内容:
のぞいてはいけない。 本能的にそう思いながらも、 少女たちはその甘美な光景を食い入るように見つめていた。 スカーフで目隠しをされた女が、一枚一枚服を脱いでいく。 生々しい行為を強要し、女を意のままに操っているのは悪魔のように凶暴な男。 完全に性の奴隷と化した女は、後日全裸の首吊り死体として発見された。 密かに少女たちは男を畏敬し、無垢な心がゆるやかに歪みはじめる……。 エリカ・スピンドラーの新境地、異色のロマンティック・サスペンス。 これはかなり面白かった。 前半は少し幼稚な気がして読みにくかったけど、 15歳の少女たちのキャラの描写がとっても秀悦で、 読むほどに彼女たちのひとりひとりの偏った性格に、 そして、それらがどのように展開していくかに、 のめりこんでいく。 読むごとに、少しづつ、ヒントを投げかけてくれる形式に なっているのだが、 それも、少しづつ衝撃的なものになってきて、 読めば読むほど止まらなくなっていくのだ。 長年の親友より、出会ったばかりの恋人が勝ることもある。 それは少し寂しいけれど、 大人なら理解できうることなのだけれど、 体は大人なのにそれを理解できない少女がもたらす悲劇。 それは狂気でしかないのに、 痛くてはかなくて。 本書では3人の少女のトラウマや、 精神的に壊れかけたり、壊れていく様子を見事に描いている。 こんなことがあってもいいの? こうなるまえになんとかならなかったの? そう考える一方で、 どこででも、ありうる話なのだとも思える恐ろしさ。 ミステリーとしては、読みなれている人なら、 トリックだけを思えば弱いかもしれない。 だけど、本書にはそれ以上のものが多々描かれているのだ。 性的倒錯、セックス依存症、トラウマ、 虐待、離婚、殺人・・・・ これだけ多くの題材を用いて、 ここまできれいにまとめられているのは、 お見事としか言いようがない。 そして。 これだけの人間の汚い部分を描いているのに、 だからこそか、 愛や、友情などの美しいものが より一層映えていくのだろうとも思った。 読書慣れしてない方、海外モノは苦手な方にも、 オススメできる一冊。 特に多感な女性には打ってつけの一冊。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2005.05.07 18:28:51
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