423689 ランダム
 HOME | DIARY | PROFILE 【フォローする】 【ログイン】

garden

garden

【毎日開催】
15記事にいいね!で1ポイント
10秒滞在
いいね! --/--
おめでとうございます!
ミッションを達成しました。
※「ポイントを獲得する」ボタンを押すと広告が表示されます。
x
X

PR

Calendar

Freepage List

Category

Keyword Search

▼キーワード検索

Rakuten Card

2005.05.14
XML
カテゴリ:読書
書店員による本屋大賞や
文庫の帯の推薦文など、
最近勢いを増している書店員という発信源。

文庫のフェアといえば、「ナツイチ」とか、
思いつくものも多々あろうが、
今回目に付き、踊らされたフェアは、
「扶桑社海外文庫の名物書店人セレクト・フェア」なるもの。
ピンクの帯に書店員の手書き推薦コメントが、
コピーされてあり、その下に勤務店と氏名が書いてある。

本書には、
「この本、背筋が凍ります。人間って怖い・・・」
と書いてあった。

映画の原作だが、未見のものだし、
海外ミステリにはまりつつある私にはぴったりでわ?
と、即購入。

海外ミステリを読み始めて、
日本のミステリにはない、怖さ、緻密さ、
犯人の、犯罪のスケールの大きさにすっかり魅了されているわけだが、
「背筋が凍るって一体どんな?」と大きく期待。

そしてようやく読み終えて。

確かに「人間って怖い」というフレーズは当たってるかもしれない。
それに、なんと処女作らしく、
処女作でここまでというのは、なるほど確かな腕前だし、
映画化されそうなネタだと納得できる映像の浮かぶ描写だった。

兄ジェイコブの人生。
もちろん、自業自得な節も多々あるし、
実際このような人は世の中に五万といるのだろうと思うが、
側面だけでなく、少しよく知ってみると、
とにかく考えさせられる。

そして主役である弟と妻のサラ。
どこにでもいるタイプの彼がぬかるみにはまっていく
描写は見事だった。
嫌気が差すほどで、
やはり彼らも自業自得なのだけれども、
誰しも彼のようになった可能性はあっただろうし、
金が人を変えるというのは今に始まったことでもない。
両親についての前説も、
因果は巡ることを巧く書き上げたとも言えるかもしれない。

そういった意味で、こと人物描写に関しては、
これ以上の作品はなかなかないとも言えるほどリアルなもので、
「背筋が凍る」という感想も感じ方によってはアリだ。

だが、正直ラストは(わかっていても)気になるから、
とりあえず最後まで読んだけど、そんなに面白くなかった、のも事実。

展開がわかっていて、でも、最後まで読みたい気持ちはあったのに、
まわりくどい描写は読んでいて時間がかかるし、
普通の人の狂気を描きたかったのはわかるが、
なんだか、脱線していってるように感じて、
読み進むほどに、作者と私の間の溝が大きくなるような。

処女作だから仕方ないのかもしれない。
いや、確かに構成上、ああなるしかなかったのかもしれない。
だけど、作者は、自分に酔って、
見失い、オーバーにしすぎたんじゃないか?と思ってしまった。

殺人鬼を描くならともかく、
あくまで普通の人を描きたいくせに、
あんなにも沢山の人を殺しちゃ、
連れて行かれる側の読者には、
もはや普通の人とは思えないのでわ?
少なくとも私はそうだった。

あんな勢いだけの犯罪たちに足がつかずに、
捜査の手すら伸びないのも、
身勝手すぎると思うし。

・・・とここまでめちゃくちゃにスミス氏を虐めてしまいましたが、
多分、次作が出たら、きっとまた読んでしまうような気がします。
それでもって、近いうち映画も見るでしょう。

だから、なんだかんだ言っても、
それだけの吸引力があることは確かで、
何が気に入らないかって言ったら、
否定をあげたらキリがないくらい、
私にとって粗多き作品なのに、
結局のところ、読了後の今でも本書の魅力にはまらずには
いられない自分が気に入らないのかもしれない。

他の人の書評はこちらから by bk1





お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう

Last updated  2005.05.15 11:18:33
コメント(0) | コメントを書く



© Rakuten Group, Inc.
X