カテゴリ:読書
悪の華
:内容: 命は惜しくないが、今死ぬわけにはいかない。 シチリアマフィアのボスの息子として生まれ、 裏切りにあい、家族を殺され、 日本に逃げた男の復讐に向けた苦闘が始まる。 凄惨にして哀切なる長編。 :感想: 久々の新堂冬樹。 彼の著作を読むのは 「カリスマ」「鬼子」「忘れ雪」「銀行篭城」に続いて5作目。 彼の下品な作風や文章にはムリがある、 路線違いの「忘れ雪」は別としても、 相変わらずの下品な文体は鼻につくし、 「またこういうパターンなのね」 と、いい加減飽きがくるのに、 それでも読んでいるといつも嵌ってしまう。 本書は、イタリアマフィアが主人公なのだが、 そのおかげで、耳慣れないイタリア語を (しかも下品な新堂節とのハーモニーで) 冒頭から多々目にする作品のため、 とても読みにくいし、 (彼の作品全般に言えることだけど) 今回はいつも以上に「漫画の世界だなー」と、 引きまくってしまう設定だった。 投げようかとよっぽど悩んだけど、 我慢して読んでたら、 ほんの序章でクライマックスばりの盛り上がり。 こんなんでこれだけの厚みの本に この先一体何があるわけ? と、思った瞬間から罠に嵌りました。 下らない設定の下衆な話だし、 はっきり言って無理があるでしょ?な場面も多々あるのだけど、 やっぱこの人のストーリーテリングってば、 というか、もってきかた、落とし方、 ほんと巧いなぁとただただ感心するしかない。 キャラのたたせ方や脇役の散らし方も巧いから、 それぞれの人物がどういう風に展開していくのか、 気になり始めた時にはもうページをめくるのをやめれなくなってしまう。 そこにきていつもの通りのどんでん返し。 最後のクライマックスを読んだ時には、 毎度のことながら、おお、と唸らされてしまう。 本作は、「新堂にもはずれあるんだなぁー」と、 最初はがっかりしたのだけど、 結局最後まで読むと満足させられてしまうんだから凄いもんだ。 彼の作品の魅力は幾度もあるクライマックスと、 二転三転する展開、 事細かな人物描写、 それからストーリーの運び方。 もし、彼がそのくどさと下品な言い回しに気づいて 修正できて、 なおかつ、もっと上品だったり、まともだったりする言い回しを 描けれるようになれば、 どんな賞も楽々受賞できるし、 もっともっとメジャーになれるだろうに。 これだけ誉めておいて星が少なめなのは、 だるい前半と、 ちゃんと完結してないような消化不良の終わり方から。 読み応えというか、 読み終えての満足度だけで言えば★4以上だし、 その後の面白さや、クライマックスで、 前半は軽く目を潰れちゃうんだけど、 個人的にやっぱこの終わり方は解せないので。 未読の方の為に多くは語りたくないけれど、 せめて国に飛ぼうよーみたいな。 ここで終わっちゃ何のために頑張ったのさ?みたいな。 んーこれ以上言えません。 ・・・十分ネタばれかな?まーいいや。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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