カテゴリ:読書
:内容: 夏樹果波は、幸福の絶頂にいた。 仕事で成功した夫、高層マンションでの新しい生活。 ところがそんな矢先、子供を身ごもった。 予期せぬ妊娠だった。 中絶という苦渋の選択をした瞬間から、 果波の精神に異変が起こり始める。 精神の病か、それとも死霊の憑依なのか。 科学と心霊の狭間で、夫と精神科医が治療に乗り出すが、 二人の前には想像を絶する事態が待ち受けていた―。 男女の問題。性の迷宮。生命の神秘。乗り移られる恐怖。心の中の別の人。『13階段』の著者が描く、戦慄に満ちた愛の物語。 :感想: 高野氏の作品は「13階段」が大絶賛するほどの出来で、 「この人はハズレなしの作家だな」と思ったのだが、 次に「クレイヴディッガー」を読んで、 「いや、そうでもないかも」と少し興味をそいだのだけれど、 「KNの悲劇」はいつのまにか買ってあったみたいで、 「大当たりはなくとも大ハズレもない作家で そこそこは楽しめるだろうし」 と、予備知識なく読んだ。 ところが、読み始めたら止まらない。 「13階段」に匹敵するほどの出来で、 怖くて悲しくてでも愛もちゃんとあるようなそんな作品だった。 「13階段」や「姑獲鳥の夏」を彷彿とさせるような、 ミステリであり、ホラーでもあり、 また人間ドラマでもある一作。 最初は、妊婦には不向きだよな、これ。 と、思ったけど、 最後までちゃんと読めばそうでもないのかもしれない。 愛する人がいる人に。 そして、そんな相手との未来を描ける人に。 特に男性にこそ読んで欲しい作品。 勿論、女性が読んでも、 とてもとても考えさせられる作品。 ・・・しかしこの人、なんでもっと話題にならないんでしょう? 「13階段」であれだけ多くの人に読まれ、 また、多くの人に好評だったはずなのに。 普通、そういう作者の次の作品ってもっと話題になるような。 高野氏は、構成が本当に巧みで、 読書が得意じゃない人でも、 さくさく読ませるくらいなのだけど、 なんだかいつもタイトルにインパクトがないような気がする。 「13階段」以降の作品は、 はっきり言って、どれもこれも皆、タイトルのつけ方が ださいと思う。 あと、ペンネーム(本名かどうか知らないけど)も 地味で覚えにくい気がする。 それでもって装丁もいまひとつ目を引かないのよね。 せっかく力のある作家なんだから、 出版社ももっと宣伝に力を入れてあげてほしいなって思う。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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