カテゴリ:読書
-10年に一度出るか出ないかの傑作である- そんな帯に惹かれて衝動買いした本作。 映画(トゥルー・クライム)の原作と知ったのは 読後、アマゾンのレビューを読んで。 かなり厚めの文庫に死刑執行までの10数時間、 死刑囚、及び彼を愛する人の心情描写や、 とりまく様々な状況、 また、刑務官など仕事として関わる側の人々の苦悩なども 巧みに描かれており、 執行される側の描写は勿論秀悦だが、 執行する側の心情描写がここまで掘り下げられている作品は 珍しいのではないかと思う。 死刑に値する、死刑だけじゃすまないほどの犯罪をした人だとしても、 裁く側はやっぱり痛いのだな、と。 「仕事」だから。 なるべく「淡々と」こなそう。 そうでもしなきゃ「仕事」とは言え、 いや、「仕事」だからこそ、 殺人に関与するということは心苦しいものなのだ。 そんな両サイドからの視線で、 沢山のことを感じまた考えさせられるという意味では 読むに値する作品として 多くの人に勧めたい一作。
なのだが、主人公となる記者の語り口が、 (だからいいのだと高評価レビューで見かけたが) わたしにはちょっと面倒くさかった。 勿論、はらはらさせられる面も多く、 それが功を奏している部分も多々あるのだが、 飛ばし読みしたくなるほどだらだらしている部分も感じたし、 いろんなところに散りばめすぎというか、 読後、疑問点がいくつか残ってしまうのは 全体を通して作品が良く出来ているだけにとても惜しい気がする。 まぁでもとりあえず映画は見てみたいので 早速近々借りに行こうと思ってます。 以下ネタバレになるので、未読の方は読了後に↓
主人公の記者のポケベルが繋がらない間に 新聞社に残っていた記者が受けた電話。 ここでも執行を止めることが出来たかもしれないのに、 女記者の死亡を伝える電話でふっとんだとあった。 しかも、「この時は」とふっておいて、 その部分はオチなしに読了させられた。 問題提起が多いのはいいことだが、 拾いきれないところまで散りばめるのはどうかとも思った。 こういったことが疑問点となって、 「よかったよかった」と終わるはずの話が むずむずした読了感になるのは 非常に勿体ないと思ったのは私だけでしょうか? そんなわけで、★3.5。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2007.07.08 10:35:38
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