品田知美の空中庭園

　久しぶりに面白い日本代表の試合をみることができた。ブラジル戦、直前にロナウジーニョが出ないかも、といううわさもあったけれどちゃんと出てたじゃない！この間出かけたバルセロナvsマリノスに来れず「日本のみなさん、テレビで見てね」とメッセージを残してた彼。日本が同点に追いついたら、見たことがないほど凍り付いた表情になっていた。ロナウジーニョをあれだけ本気にさせたのだから、スゴイと思う。それにしても、対戦相手によって、プレーがあれほど変わるとは。。。ただね、ブラジル風のサッカーを双方で展開しているから、結局個人技に少し劣るブラジル風日本対、本家ブラジルって感じでちょっぴり恥ずかしい。
　メキシコ戦に負けたとき、中村が「ヒデさんのプレー」に注文をつけて、このままチームが分解してしまうのか？と思いきや、逆にまとまっていった。中田がずっとそうありたいと思っていたように、本気で意見をいいあえるチームがようやく誕生したのかもしれない。それにしても、ジーコジャパンには選手の「自由」とか「自律」などの言葉がいつもついてまわる。たしかに3年たって、選手たちはかなり成熟を感じさせるようになった。いまさら成熟？という気がしないでもないが。
　いっぽう、ワールドユースの試合を見ると、日本のチームはひどく稚拙な印象を受ける。年代が同じだから差が目立つのだ。どの国もプレーはもちろん若い。そういうことでなく、大熊ジャパンにはどうも子どもっぽさを感じてしまう。個人の技術の問題でないのは一目瞭然である。監督の指示もウルサイ親（わが身を振り返り反省させられる）を想像してしまう。大人になるのが遅いのは、サッカー選手だけじゃないからしょうがない。彼らは（私の）持論からいっても「育ち方」がすっかり変わってしまった世代にあたるのだ。
　もしかすると、若いうちこそジーコ流で「自律」を重んじて育てた方がいいのかも。中田の世代、小野の世代、どちらもワールドユースでベスト８以上だったことを考えると、ほとんどがその両世代で構成されている現代表は、黄金世代なのである。考えてみれば世界で勝てて当たり前だろう。グループリーグで敗退してる場合じゃない。いまはいいが心配なのは、ジーコジャパンの後である。ブラジルも、若い選手に代表経験を積ませ、常に世代のバランスを意識している。ジーコ流では、互いに「わかりあってる」必要があるので、選手の年齢層もあまり拡がらない。カンのよい監督は、とりあえず結果は残すだろうが、長期的展望までは視野に入っていないようだ。