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テーマ:本日の1冊(3693)
カテゴリ:古代史 <出羽の国>と<日本>
「大和朝廷から統一国家へ」という副題。
***** ***** ***** ***** ***** 序章 : 古代史を学ぶ意味 1章 : 古代都市「大和」と首長霊信仰 ・山の辺の道に生まれた新文化 ・前方後円墳を作った平和都市「大和」 ・天皇の魂が静まる三輪山 ・国造作りの巨人、崇神天皇 2章 : 戦乱時代の勝者 ・銅鐸を割る時 ・桃太郎伝説と前方後円墳 ・邪馬台国最期の戦い ・国譲りと出雲神宝 ・日本武尊、吾妻国を征す 3章 : 東北の歴史が語るもの ・ ・東の文化を代表する亀ヶ岡遺跡 ・奥州日高見国の後退 ・荒脛巾神を祭る安東氏 ・続縄文文化の国と按司の国 終章 : 古代日本文化の3つの流れ ***** ***** ***** ***** ***** 大きくわけて、3章から成る。 ”日本統一の動きは、近畿地方から始まった。しかし、近畿地方が 長い間文化の後進地であったことに注意する必要がある。 縄文文化の中心は東北地方にあり、弥生文化は北九州から広まった。 そして、3C初頭に、その2種類の文化の先進地からもっとも 離れた奈良盆地で第3の文化が生まれた。” ・・・という書き出しではじまる。 纒向遺跡などを大和朝廷、大和の発祥地、としている。 ”古代人は、霊山とされた三輪山の麓の真貴向く纒向(まきむく)を中心する一帯を 「大和」と呼んでいた。それは、「飛鳥」「斑鳩」といった奈良盆地の他地域に対応する呼称であった。”と、いう。 意外なことには、大和朝廷を考える上で、東北と北九州という地域を分析した上で 大和を考えていることだ。他の地域にも重きをおいて、その範囲は現在の日本、全域にわたる。 卑弥呼、出雲、吉備、毛野(北関東)、北海道(アイヌ=縄文人)、沖縄など、日本全体が お互いに影響しあって日本の歴史が成り立ったことを解説する。 面白いことは、古代の宗教的な内容に踏みこんで書かれていることだ。 大和朝廷が”首長霊信仰(一部、天皇霊)”という有力豪族の祖先 を祭ることをはじめたとする、宗教感を定義つけたことだ。 その”首長霊信仰”に対する宗教感として 古代東北にあった宗教を取り上げる。 ”古代東北地方の人々は大和朝廷とことなる精霊崇拝(アニミズム)に 基ずく文化をもっていた。そのため、かれらは、首長霊信仰の上にたつ朝廷 の文化を受け入れず、頑強に抵抗したのだ。・・・・・・・<続> 日本の文化は決して単一なものではない。縄文的なものと弥生的なものとが融合した上に、 さまざまな外来文化をとりいれて、形作られたものだ。・・・・<続>・・・ 弥生的な朝廷は、大王(天皇)を頂点とする身分制を重んじた。 ところが縄文的な東北地方の人は、人間平等の考えをとった。 「俺たちは皆、平等の仲間だ。よそ者の好き嫌いに基ずく序列をつけられてたまるか」 これが東北王国が朝廷の支配を拒否した最大の理由となる。” ・・・と、解説する。 こういう考え方には、説得力がある。いまも東北に残る自然崇拝の宗教観を うまく言いあらわしているからだ。作者は山口県防府市出身の方らしいが、 歴史感として こういう考えを 受け入れられたことには感心する。 空白の4世紀と言われる時代やその前後の時代を現在の資料とも合う形で 上手に解説している。説得力のある内容であった。 東北文化も重要視し、縄文文化の貴重さを感じされる本でもあった。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2021年09月19日 12時23分06秒
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