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出羽の国、エミシの国 ブログ

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2007年09月14日
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カテゴリ:読書本(Book)
出雲は、大和(奈良県)にあった!!もともと島根県ではない!よくある本家、家元争いに似ているが、これがこの本のテーマだろう。

 奈良県三輪山南東にある初瀬川沿いに”出雲”という村がある。その出雲村がこの本の「出雲」地名起源説の地だ。

 「大和の先住民が島根県出雲へ移り住んでから後世になって故郷(大和)に帰り、出雲を地名にしたのではないか、という説も有力である。」とも言う。
古くから、島根県出雲大和出雲とはとても深い関係があったことは確かなようだ。

 作者のいう“肌で感じて足で書く“という言葉のとおり、大和出雲村やその周辺を実際に訪れ、伝説なども詳細にしらべるという地道な研究の成果である。歴史の教科書で習う内容より、現在の風習や伝説を考慮している点、納得させられる点が多い。
(三輪山東側、大和川との間に出雲の地名や素戔嗚神社周辺には大田の地名が残る)

 とっておきの1冊となった。

 副題は“日本相撲史の源流を探る”。内容的には、相撲の歴史というよりは大和の出雲村の内容が大半をしめている。

 内容は大相撲の歴史からはじまり、世界の格闘技から釈迦、埴輪まで多岐にわたる。そして、伝説上の日本相撲発祥の人物、野見宿禰(のみのすくね)の話になる。日本書紀の記述、垂仁天皇の時代の物語である。概略はこうだ。

當麻村蹶速(たいまのくぇ(け)はや)というたいへん勇ましく強い人がいた。
“日本の国ひろしといっても、とうてい自分の力にかなう者はあるまい、なんとか力の強い者にあって、命がけで力くらべをしたいものだ”と豪語しているという。
そこで天皇は、“蹶速が日本一の力持ちだと聞いたが誰かこの男にかなうような強いものがいないだろうか”というと、1人の臣下が進み出た。
 その臣下は、“私は出雲の国野見の宿禰という力の強い人がいるときいています。この人を呼び寄せて力競べをさせてみてはどうでしょうか?“という。
 その日の内に、使者を出雲にやり、野見の宿禰をよびよせることになった。
 2人は相撲を取ることになり、結果、野見の宿禰が當麻の蹶速を破り 殺してしまった。野見の宿禰は天皇から蹶速の土地を与えられ、天皇に仕えることをゆるされた。」

 戦前の小学校の教科書にも採用されて有名な話なのだそうだ。

作者はこの物語の中で、野見の宿禰を呼びだしたときに、「即日(そのひ)」使いを出して 出雲から呼び寄せるところに注目。

 “その日”に出雲から到着するほど、倭(三輪山周辺)と近い位置にあったことから、出雲は三輪山南東にある初瀬川沿いの出雲村であったとする。その根拠はその土地に伝わる野見の宿禰の遺跡、三輪山周辺の遺跡やそれらの伝説などから明らかにしていく。

 ジャーナリスト出身の作家の大和出雲に対する情熱はすごい。
「幻の野見宿禰を追って、くる日もくる日も巡礼者のように大和の地に、島根県の出雲に探し求め、きわめて雑多な古代史と考古学の文献という、深い森を掻き分けて、20余年あてどなくさまよい続けた。立証不可能な追求と知りながらも、「日本書紀」が伝える魅力の宿禰像を、私なりに存在しうるという欣求(ごんぐ)を、私なりに描いてみたかったのが本心である。」と本の最後を結ぶ。

 あまり知らなかった内容が多いのだが、その緻密な内容は決して無視できないものだと思った。

 一見、出羽の国とは無関係な内容のようだ。が、この出雲村は、初瀬が近く、蜂子皇子ゆかりの大伴氏の居住地域とも近い。作者の掘り出した内容は出羽の国のなぞを解くにもたいへん参考になるし示唆してくれる。


 次回はこの本の内容を参考にした、出羽と出雲との比較をしてみたい。





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最終更新日  2022年05月01日 21時59分07秒
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