テーマ:スイーツ★スイーツ(13214)
カテゴリ:パティシエのお菓子
インペリアルトルテはザッハトルテと並ぶ、ウィーンの銘菓。
どちらもチョコレートを使った生地にチョコレートの上がけがされ、一見似ているように思えますが、内容は全くの別物。 見た目ではっきりわかる違いは、ザッハトルテが丸いケーキなのに対し、インペリアルトルテは正方形。 ザッハトルテについての説明記事はこちら 『インペリアルトルテ』 IMPERIAL TORTE ミニョン Mignon (ミニサイズ・1切れ) 5cm×5cm×高さ4.5cm 70g 2,625円 ホテルインペリアルは、元はヴュルテンベルク王国の王子の私邸として建てられ、1873年に開催されたウィーン万国博覧会の時にホテルに改装されました。 クラシックな内装で、19世紀末の優雅なウィーンの雰囲気を今に伝えるエレガントなホテル。 (美しい室内の写真) カフェとショップだけは気軽に入れましたが、宿泊するには少し緊張感が必要な…。機会があれば一人旅でない時に泊まってみたい憧れのホテルです。 インペリアルトルテは、国賓も迎える格式あるそのホテルのスペシャリテとして、一世紀を超え親しまれています。 3月24日(火)まで伊勢丹新宿本店で開催中の「オーストリアフェア」の会場に並ぶ三種類の中で、一人用の小さいサイズがあるのはオリジナルのインペリアルトルテのみ。 以前食べそびれてからずっと気になっていましたので、買いましたよ~♪ 『インペリアルトルテ』 ミニョン このお菓子には、コーヒーがあいますね。 本当ならメランジェ(コーヒーとホイップした牛乳を混ぜた飲物)がほしいところ…。 さて、期待のお味は。 ザッハトルテの中味が厚焼きのザッハ生地一種類とアプリコットジャムの組み合わせなのに対し、インペリアルトルテは実に複雑。 上がけのミルクチョコレートのすぐ下にはマジパンローマッセ(ローマジパン)が一層。そしてチョコレートとアーモンドのずっしり詰まった層が幾重にも重なります。 (配合は秘密。現在でも公開されていません) 急いでいてナイフを温めずに切ってしまったら切り口がグタグタ。 本当はチョコレートの板と上がけの部分は溶かしながら押し切りするとスパッと美しい断面に。あ~、ハプスブルクの紋章がこんなことに…。 フォークで切っている時から硬い手ごたえ。ふんわりではなくどっしり。 口にするとアーモンドの香りが非常に強い。 わかりやすく言うと、杏仁豆腐に使われる杏仁(杏の種の中味)のようなはっきりした香りがあります。(表現が逆ですね。ふつう杏仁がアーモンドの香りに似ていると言われます) 食感は“ザックリ”。 ホロホロ…でもなくハラハラ…でもなく、口の中で層が崩れていく感じ。非常に表現しにくい、体験したことのない味わいです。 ややザラッと舌に触る感じもありますし、複雑な構成、今までにあまり食べたことのない食感、強いアーモンドの香り。 ミルクチョコレートというと甘いチョコレートというイメージがありますが、“チョコの甘さ”は全く気になりません。印象が強いのはローマジパンのナッティーな味と香り。 ドイツ菓子にはローマジパンでお菓子を包み、しっかりアーモンドの味わいを楽しむものも多い気がしますが、オーストリア菓子はどちらかというとローマジパンを生地に練りこんで焼くことが多く、そのままの形で食べるのはそれほどないかも。 (シュトーレンのセンターに、棒状のローマジパンを入れて焼くのは有名) このお菓子が100年以上オーストリアの人に愛されてきたお菓子、と思うとこれをいただくのは実に貴重な体験。 日本人が好む「ふんわり」「しっとり」「ふわふわ」「もっちり」の対極をいく味わいに、異文化を感じます。 すごく美味しい?と聞かれたら、それは慣れの問題かも、ときっとそう答える私。 小さい頃からナッツのペーストに親しみ、濃厚なチョコレートと生クリーム、ナッツのかもし出す味わいに慣れていると、このお菓子が世界で最も美味しいお菓子と即答するのでは。 ふわっふわのチョコレートケーキを期待して食べると全く違った感想を持つのは間違いありません。 現地では、インペリアルトルテのサイズには キングサイズ 960g 16人分 47ユーロ 20×20×4.5cm クイーンサイズ 500g 9人分 35ユーロ ピッコロ 300g 4人分 27ユーロ 10×10×4.5cm ミニョン 70g 2個入りなどがあります。 キングサイズが売れるって、なんだかすごい! 今回伊勢丹に登場したのはピッコロとミニョン。 ちなみに私は、ミニョンを夫と二人で半分ずつ分けて食べ、ちょうどいい感じでした。 オーストリアフェアの初日には、こんなに太っ腹な試食が出されていました。 さすが、切り口がきれいですね☆ 試食でいただいたのは、世界初登場の『インペリアルトルテ シュヴァルツオレンジ』。 こちらはオレンジの爽やかな香りがはっきりしていて、ミルクチョコレートではなくダークチョコレート。全面を覆ったローマジパンの甘さとオレンジの酸味の対比で美味しくいただきました。この組み合わせはとてもいいですねー。 2006年に登場した 『モーツァルトエディション』 10cm×10cm×高さ4.5cm 4人分 300g 6,101円 上のチョコレートの板には双頭の鷲の紋章ではなくモーツァルトの顔が。 こちらはピスタチオバージョン。 「トルテ」とは、ドイツ語。通常は丸く焼かれたお菓子のことをさし、切り分けて食べます。 トルテの形は必ず「丸」かと思っていましたら四角でもトルテというのにちょっとびっくり。 「シュニッテン」も切り分けて食べるお菓子。棒状(長方形)のものが多い。 このように、お菓子の用語には“通常は○○、でも必ずしもそうでないものもある”とアバウトな使い方をされてることがあるので注意が必要です。 ジェノワーズとビスキュイの違いなども同様で、だいたいの決まりごとはありますが絶対のルールというわけではありません。柔軟な頭がいりますね。 伊勢丹のオーストリアフェアの会場で、ウィーンからインペリアルトルテ販売のスペシャリストの女性が来場されているのをみかけ、なぜ形が四角いのかお聞きしてみました。 「他と区別したかったからこの形に」というお答えが。 なるほど、シンプルな理由。 確かにこの「正方形・チョコレート上がけ・双頭の鷲のチョコレートの板」のデザインを見ると、すぐにインペリアルトルテだとわかる特殊性があります。 ザッハトルテはウィーン菓子のお店ではかなりの確率で作られていますが、ハプスブルク家の紋章を飾るインペリアルトルテはホテルインペリアルだけのもの。 1832年に登場し、ウィーン菓子代表のように既に人気を集めていたザッハトルテとの違いを明らかにするために、正方形という形が必要だったのかも…? (持ち帰りしやすい、発送しやすいので丸から正方形にした、という説もありますが) もう少し英語力があれば、「トルテは丸いお菓子だと思っていましたが四角でもトルテと呼んでいいのですか?」とお聞きしたかったところ。 ああ、英語でのインタビューは難しくて、へこみます。 インペリアルトルテを食べてみたくなってきました~☆と思われたら ↓を押して応援して下さい☆ いつもクリックありがとうございます♪ 一日一回カウントされます。よろしくお願いしま~す。 ↓ ↓ ザッハトルテはたくさん販売されていますね。 この二つは、ウィーンの伝統の味 ヴィタメール シュトラウス 製菓マイスター三浦氏のザッハトルテ 世界パティスリー2009 現場レポート もくじ ガレットのお菓子日記 Home お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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