テーマ:●食べた物の画像♪(86582)
カテゴリ:パティシエのお菓子
東京方面から「長野スイーツ」を食べに小旅行に出かける場合、最も期待するのは“産地の新鮮な果物を使ったお菓子”。
その地方ならではの素材がストレートに味わえるような、素材の味を邪魔しないように作られたお菓子を楽しみに足を運びます。 さて、実際に長野で人気のパティスリーでは、果物を焼きこんだだけの素朴なタルト、たくさんの果物を飾ったショートケーキなどが中心に作られているのでしょうか? Story かなりスリムなケーキ 中央の『Reve~レーヴ(夢)~』は、 フランス産クリームチーズとシナモンで炒めたリンゴをあわせた半熟チーズケーキ 軽井沢スイーツ博 第3会場のブティックに出店されていた ストーリー (pastry boutique Story) の有賀弘隆シェフが会場にいらっしゃいましたので、お話を伺うことができました。ラッキー♪ 「むこう(フランス)で修業してきたシェフに『地元産の物をいっぱい使えていいね』とよく言われますが、かえってそういうのは地元の人には売れないんですよ」と有賀シェフ。 右の写真『コントレール』は、渋皮付の栗を刻みショコラクリーム、マロンペーストとあわせショコラ生地でサンドし、酸味がきいた対照的な味わいのパッションクリームと組合せたもの contraire=逆の、反対の (フランス人は栗とカシスの組合せを多用しますが、栗とパッションフルーツも興味深い組合せですね) 上田市にあるストーリー のお客さんの7~8割はリピーターとのこと。 「お客さんに戻ってきてもらうお菓子を作らなければならない」 「地元の人は食べ慣れすぎていて、地元の物を使ったお菓子を好まない」 なんとも贅沢に聞こえますが、確かに日常的にふんだんに果物のある生活をしていると、ケーキを買う時にあえて“普段食べる果物”を使ったものは選びたくないのかもしれません。 Story のお菓子 「ただのアップルパイでは売れません。」 素材を生かしてシンプルに作りあげたケーキでは、地元の人の心を捕え繰り返し買いにきてもらえるお店にはならないようです。 (十分に美味しいと思いますけれどね~!!) では、フランスで流行しているお菓子をそのまま持ってくればよいかというと、チーズやチョコレート、マカロンなどは人気があるものの、 「長野県の人は、なかなか新しいものには手を出しません。」 ほぉ。…難しいですね。 そこで、ストーリーではどんなお菓子を作っているのか伺うと、「こんな技法があるんです」と打ち出すのが大切とのこと。 海外の素材を効果的に使い地元の素材と組みあわせ、「いつものリンゴがこんなに変わった!」と、驚いてもらえるような新しい形・味・食感を提案。 地元の杏を焼きこんだシブーストでは、「こんなケーキがあったんだ!」「こんな食べ方があるんだ!?」と知ってもらい、リピーターを獲得☆ なるほど、地方のパティスリーには地方のやり方があるのだと納得です。 またその工夫されたお菓子が新鮮で期待できるものに思えるのは、有賀シェフが南仏のセットという土地で研修され、フランス菓子の確かな技術を身に付けただけでなく、フランスの地方におけるパティスリーのあり方を学ばれたからかもしれません。 この土地でM.O.F.の指導を受けた研修は、パリの最先端を極めるお菓子とは少し方向性が異なるものだったようです。 「地方の方が美味しいお菓子がある」という有賀シェフの持論は、フランスでも日本でも通用するものなのかも。 美味しい素材に恵まれた地方都市にあって、その素材の質の良さだけによりかかるのではない新・地方菓子ともいえるお菓子作りへの姿勢は実に魅力的です。 Story 純白の『モンブラン』 『ほうじ茶』 ローストした粉末アーモンドで作ったメレンゲの土台に栗を丸ごとのせ、ラム酒の効いたマロンクリームを重ねて周りに生クリームを絞った、まさに驚きの白い山・モンブラン。 同じ素材を使っても組立て方を変えると、口溶けも印象も全く変わりますね。 これは、空気が入っていない濃いマロンクリームを味わってもらうための手法だそうです。 クリームと栗とのバランスも気になります。食べてみたかった一品です。 Story 『ルリジューズ・オ・ショコラ』 さらに、有賀シェフのお菓子の特徴をお聞きすると、果物の酸味をはっきりと出すものがお得意とのこと。 酸っぱいものを酸っぱいまま使う。 最近甘さ控えめのお菓子が流行していますが、砂糖をただ減らすのではなく、そこで酸味や苦みをいかし、メリハリのあるお菓子を作る。それが印象に残りやすい、と。 特に夏場は、酸味のきいたお菓子が多めです。 「パッションフルーツって何ですか?」というお客さんには、「とにかく食べてみて下さい」と、積極的にすすめていくそうです。 『ガトー・バスク・オ・マロン』 『ギモーヴ』 「地方のお菓子屋が、みんなまとまって同じ方を向いてもいけない。10人のうち8人・9人にも選ばれなくていいから、少しずつでもうちのお菓子を選んでもらえるように(していきたい)。」 地方の温かみのある店づくりのイメージとは異なり、白と黒を基調に赤をアクセントとして原色の組合せでセンスをだす内装にされているというストーリー。 お店に伺ってみたいですね。 pastry boutique Story 有賀弘隆シェフ ※撮影・掲載許可をいただいています 他にも、店名の由来や独立されてからとまどったことなど、色々お話を伺いました。 そうなると、軽井沢スイーツ博のスイーツコースで満腹になっていても、有賀シェフのお菓子をこの場で買って食べないわけにはいきません。 pastry boutique Story 『キャラメルサレ』と『シブースト』を購入 先にシブーストをいただきます。 スリムなケーキの中でも、更に細い。 アーモンド生地の上に存在感のあるぷっくらとした杏。上はオレンジのピューレ入りの軽いシブーストクリーム。なるほど、レモン?の酸味が加わっているのをしっかり感じ、爽やかで夏らしい。 軽く感じる半面、食べ進むにつれ食べ応えあり。このサイズで正解。 キャラメルサレは驚きの軽さ! シェフの説明を伺った時、「これは濃厚な…」と私が言いかけると、いえ、軽いんですと意外な説明が。 今までに色々なお店のキャラメルサレを食べ、ショコラ生地が重く強い印象のものが多かったので、違うアプローチにしたかったと。 塩のとげとげしさ、キャラメルのえぐみをなくし、キャラメルと塩味がちゃんと伝わるような食べやすいものを目指したのだそうです。 食感はシュワッとふわふわ~。 小麦粉を全く使わない生地(ビスキュイショコラ サンファリーヌ)は、口の中で泡が消えるようにシュワッとした口溶けのよさの軽い生地。口に入る瞬間はふわふわで弾力があります。 生地4枚+クリーム4層で食べ応えのある構成ですが、超スリムサイズですので飽きることはありません。 なるほど。塩味もうるさくはなく、ゲランドやカマルグ等の上の方でとれた塩(フルール・ド・セルとかフリュイ・ド・メールとか)を使われているのか、まろやかです。 ここ数年の塩キャラメル、塩チョコレートなど塩ブームでだいぶ慣れてきた感はありますが、こうしてケーキの形で意外にアッサリといただけるのは嬉しいもの。 どちらも、美味しくいただきました☆ 今まで地方菓子といえば、その地方に伝わる伝統のお菓子をさすことが多かったと思います。 これからは、日本におけるフランス菓子の世界で、地方の名産品を使った新・地方菓子が、各地からどんどん発信される時代になってくるのかもしれないと感じました。 ペストリーブティック ストーリー (pastry boutique Story) 有賀弘隆シェフ 長野県上田市大字秋和字町裏538-1 0268-75-1072 営業時間 10:00~19:00 定休日 火曜日 地図 軽井沢スイーツ博 もくじ オーストリア・フランス 2010「地方菓子を巡る鉄道の旅」 目次 恵まれた長野素材を生かす方法は☆ と思われたら ↓を押して応援して下さいね いつもクリックありがとうございます♪ 一日一回カウント。よろしくお願いしま~す。 ↓ ←こちらもよろしく! ガレットのお菓子日記 Home お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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