大学院の仕事がびっくりするほどのスピードで進んだ要因の一つは就職先でのDr.Bとの出会いのおかげだ。Dr.Bからアップルコンピューター製マッキントッシュSE30(マック)を譲っていただき、その使い方を細かく教わった。あまりにも簡単、明快な操作で、統計処理ができ、グラフや図もサクサク作成できる。目からウロコがおちる思いだった。これにくらべて当時のマックOS以外ののコンピューターは僕の知識と技術では全く使うことのできない代物だった。アイコン(グラフィカル・ユーザー・インターフェイス)をもち、マウスでクリック、ドラッグ。プルダウンメニュー、基本的操作の統一(コピーとペーストを異なるソフトの上でできる)といった今のウインドウスではあたりまえの視覚的操作は当時にあってはマックのみで可能だった。結果を集計するのに非常に便利なソフト=エクセルもマックのみで使用できた。エクセルはマッキントッシュSE30の上で水を得た魚のように走って僕の実験の集計をしてくれた。教授の前で中間報告をする時も綺麗な図を簡単に出すことができ、同じ結果でも手書きの結果よりはるかに見栄えが良かった。マックは当時本当に高価だった。しかも日本語はあまり得意でなかった。しかし、使えないパソコンに投資するより断然よかった。
今はいい時代になった。マックより安く、安定したソフトやOSが無料に近い値段で手に入る。ハード面も安い。僕のマックのハードディスクの容量は40MBだった。いま(2006年)なんか、携帯電話ですらミニSDに512MBとか1GBの記憶ができるんだから、コンピューターの世界の進歩はすさまじい。脳外科の進歩もこのくらいの勢いで進めば、みんなもっと楽に仕事ができると思う。