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カテゴリ:半生
その日は救急日で何人か入院していただいていたが、夕方になってある救急患者Xさんが搬送されてきた。地元有力企業の部長クラスの方だという。だからといって特別扱いをするわけでもなく、診断ののち、治療方針を決定。入院の説明を行って同意ののち、入院していただいた。続いて他の救急患者さん達の診療に当たっていたら、助教授から僕に電話という。救急日でただでさえ忙しいのに、そのうえ気を使わないといけないのはまいったなあと思いつつ電話にでると、 時間の無い中、一生懸命説明して治療に入ったのにと残念だったが、それが患者さんのご希望なら、しかたがない。面談すると ”死んでもいいから、〇〇病院に紹介してください”と家人。 参りました。〇〇病院の評判はやっぱりすごいなあ。まあこれが、そのときの僕の実力。プライドは捨てて、患者さんの希望をかなえるのが、僕の使命だと自分に言い聞かせました。転院することによる危険性を説明の上(これは意地悪ではなく、重要不可欠な説明事項です)転院へ。救急車で転送する時はドクターか看護師が付き添う決まりになっており、この時は僕が付き添いました。車の中で血圧を測りながら降圧薬を入れて状態を安定させながら、転送先の、〇〇病院に到着。担当の先生(後から2年目の研修医と判明)が、とても尊大な態度で ”先生、この病気は・・・ですから、保存的治療でいいんですよ。先生のところでも十分対応できると思います。”とおっしゃいました。僕はその頃(今も?)ケンカっ早い人だったんですが、その時は、自分が惨めで騒ぐこともできず、 その地域で有名な病院はブランド力があります。患者さんがある特定のDrを希望したのではなく、〇〇病院というブランドを希望した場合もあるでしょう? 他の病院に転送するDrにはそれぞれ事情があります。転送して自分が楽になってああよかったと思っているDrもいれば、この時のように、本当はなんとか自分の施設で対応したかったが、種々の事情からそういうことができず、できる施設に託すDrもいるでしょう。そのあたりをよくわかってあげてほしいものです。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2006.09.05 00:46:05
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